ただ録音するだけじゃなく、様々な編集が行えるのがDAWソフトの魅力です。定番の波形編集からアッと驚くような手法まで、便利な編集機能が満載です。

波形編集を行う

まずは1番オーソドックスな「波形編集」から見ていきましょう。その名の通り、オーディオ波形を編集する方法で、例えば、不要な部分をカットしたり、演奏をコピー&ペーストして複製する…といったデータを作り替えるための編集です。

DAWソフトでは、波形がない部分は無音として再生されます。凄く当たり前のようですが、とても大切な考え方です。例えば、録音をスタートさせてから演奏し始めるまでの空き時間を削除したい場合は、ハサミで波形をカットしてもOKですが、波形の左右をマウスでドラッグ&ドロップして隠してしまっても無音になります。オーディオ録音の場合は、例えギターのボリュームを0にしていてもケーブルやエフェクター、アンプなどの音が微妙に入っていて完全な無音にならないケースも多いです。1トラックだと気にならないかもしれませんが、それが複数トラック重なっていくと無視できないノイズになることもあるので、不要な部分はしっかり無音化していきましょう。このように波形から不要な部分を取り除く作業を「トリミング編集」と呼びます。

トリミング編集を行うと、波形の途中から再生されることになるのでオーディオ波形が鳴り始めるタイミングで「プツッ」というノイズが発生することがあります。そのため、波形の始まる/終わるタイミングには短いフェード・イン/アウトを設定する「フェード処理」を行うのが重要です。波形をカットしたら、必ずフェード処理を設定する癖を付けておくのが良いでしょう。

この他にも、定番のコピー&ペーストや波形の1番大きな部分が0dBになるように、波形全体の音量を引き上げる「ノーマライズ」などいろいろな編集が可能です。また、波形をカットして鳴るタイミングを移動すれば、演奏のズレを修正することもできます。演奏自体のタイミングを自動修正する「クオンタイズ」といった機能まで利用可能です。もちろん生演奏で最高のプレイができるのが理想ですが、どうしてもうまくいかない場合や録音後にミスに気付いた場合などは、こういった編集機能が役に立ちます。

エフェクト処理

厳密には編集とは少し違うのですが、DAWソフト上で利用可能なエフェクター「プラグイン・エフェクター」を使って、サウンドを加工できるのも面白い部分です。DAWソフトには最初から様々なプラグイン・エフェクターが収録されているので、まずは標準付属プラグインだけでも十分遊べるはずです。

主要なソフトの多くはアンプ・シミュレーター・プラグインも収録されているので、ライン録音でもアンプを鳴らしたかのようなサウンドを作り出すことができます。使い方も、エフェクターを使いたいトラックのミキサーにあるインサート・エフェクトの項目(ソフトによって呼び方は異なります)にエフェクトを設定するだけです。エフェクトで加工した音を聴きながらレコーディングすることもできます。

どうしてこのタイミングで紹介したかというと、その理由もちゃんとあります。例えば、ハードウェアのマルチ・エフェクターをオーディオ・インターフェイスに接続して録音する場合、当たり前ですがエフェクターで加工された音が、そのまま録音されます。しかしDAWソフトの場合、録音時にエフェクトを設定したとしても録音されるのはあくまで生音なんです。どういうことかというと、レコーダーの前にエフェクトがあるのではなく、レコーダーを通った後の音が、再生される時にエフェクト処理されるという仕組みです。

少しわかりにくいかもしれませんが、要するに録音した後でエフェクトの設定を変えれば音色自体を作り替えることができるということです。そのため、録音していた時は気持ち良いと思ったけれど、ギターを重ねたり他のパートと合わせて聴いたらバランスが悪く聞こえる…という時に、何回でも音色を変更することができるんです。

コンピング編集

そして極めつけは「コンピング編集」です。簡単に言えば、何回か弾いた演奏の中から、うまく弾けた部分だけを組み合わせて、ベスト・テイクを作るための機能です。従来でも波形をカットしてコピー&ペーストすれば同じことは可能ですが、コンピング編集のメリットは、とにかく簡単でわかりやすいのです。実際の流れを見ていきましょう。

まずは、すでに録音された波形の上に、もう1テイク別の演奏をレコーディングしていきます。録音中は元に入っていた演奏はミュート(消音)されているはずです。

録音後、パッと見は波形が上書き録音されたようにも見えますが、編集機能をONにすると2つの演奏テイクがパッと展開。どちらのテイクが良かったのかを簡単に聴き比べることができます。また、複数のテイクから良い部分をつなぎ合わせたい場合も、使いたい範囲をマウスで選択するだけで自動的に1テイクにまとめてくれます。この辺りの挙動はDAWソフトによって異なりますが、波形編集のようにトリミングやコピーも不要で、波形を見ながらマウスで直感的に操作できるので活用しない手はないでしょう。

あらゆるパートのレコーディングに便利ですが、特にギター・ソロのように難しいフレーズをレコーディングする時に重宝します。指定区間を繰り返し録音する「ループ・レコーディング」と組み合わせて使うのもオススメです。