続いて、打ち込み機能も使ってみましょう。打ち込みのメリットは、前にも紹介した通り、持っていない楽器や演奏できない楽器の演奏を再現できる点です。ほとんどのDAWソフトには、あらかじめソフトウェア・シンセサイザーが収録されており、上位バージョンになればドラムやピアノ、ベース、ストリングスといった生楽器のサウンドからダンス・ミュージックで使われているようなド派手なシンセ・サウンドまで、あらゆるサウンドを網羅しています。逆に言えば、打ち込みは音色を持っていない楽器は再現できないということです。DAWソフトを買う時は、予算の許す限り上位バージョンをオススメした大きな理由はここにあります。

打ち込みの基本、ピアノロール

DAWソフトにはいろいろな打ち込み方法があります。1番オーソドックスなのが「ピアノロール」という画面を使った編集です。この画面は縦方向に音程、横方向で時間軸を表しており、鳴らしたい音程とタイミングが交差する部分に音を打ち込んでいくというものです。慣れない内は五線譜以上に音を把握しにくいと思いますが、慣れてくると音の長さや音程の関係がひと目でわかって非常に編集しやすい画面です。

例えば、このような8ビートのリズム・パターンをピアノロールで打ち込むと、

このように表されます。

具体的には、ツール・モードを「鉛筆」に切り替えて、打ち込みたいタイミングでクリックしていくだけ。打ち込みがオーディオ録音と決定的に違うのが、入力した後でも音色やフレーズを自由に変更できるという点です。オーディオの場合は、うまく弾けるまで何度も繰り返して弾き直す必要がありますが、打ち込みの場合は入力後にマウス操作だけで音程やタイミングを調整したり、コピー&ペーストも自由自在です。再生しては編集。また再生して確認して…と試行錯誤を繰り返しながらイメージ通りのフレーズになるように音を配置していきます。

ドラムのような打楽器の場合は、発音の長さは関係なく、どのタイミングでどの音を鳴らすかだけに気を付ければ良いということになります。また、音の強さも1音1音に設定することができるので、アクセントを付けたり、タイミングをうまく微調整していくと、本物のドラマーが叩いているような演奏フィールを再現することもできます。

MIDIキーボードを使った打ち込み

MIDIキーボードを使うと、マウスで1音1音入力していくよりも遙かに簡単に打ち込むことができます。打ち込み方法には以前紹介したステップ入力、そしてオーディオ録音のように曲に合わせてキーボードを演奏して打ち込んでいく、リアルタイム入力があります。リアルタイム入力は一見難しそうに思われがちですが、DAWソフトの「クオンタイズ」というタイミングの自動修正を使えば演奏タイミングのズレを気にする必要はありません。しかもMIDIデータの場合は、音程はそのままにテンポを自由に変更でき流ので、テンポを落として入力すればフレーズの難易度は一気に下がります。もちろん入力後にミスタッチを修正することができるので、高度な演奏技術はまったく不要です。

操作の面でもキーボードの方がマウスよりも音楽的に打ち込めますので、実は入力のストレスを感じたくない人ほどMIDIキーボードを活用するのがオススメです。


初心者こそドラム音源を活用しよう!

打ち込みって何だか面倒臭そうだな…なんて思った人も多いと思います。確かに、ピアノロールというまったく新しいことを覚えなくてはいけないので、ストレスがないというのは嘘。そんな時にオススメなのが、別売りのドラム音源です。

DAWソフトも使いこなせてないのに、別売り音源を買うのは…という気持ちもわかりますが、ドラム音源は、単にリアルな音色が入っているというだけでなく、実戦的なリズム・パターンも収録されています。モデルによっては数千単位のグルーブ・パターンが用意されていて、ドラッグ& ドロップするだけでDAW ソフトに取りこむことができるのです。

このパターン機能を利用すれば、ドラムの打ち込みは不要に。パターンは編集可能なMIDI データとして収録されていますので、取りこんだ後でピアノロールで開いて1 発だけシンバルを足したり、ちょっとエディットする…。たったこれだけで十分イメージ通りのリズム・トラックを作り上げることができます。

ゼロからピアノロールに打ち込むのは大変ですが、既にあるMIDI データに手を加えるだけなら難易度は一気に下がります。

専用音源は音色のクオリティー的にもDAW ソフトに標準付属の音色より1 ランクも2 ランクもグレードアップしています。特にバンド・サウンドにおいてドラムの音色は非常に重要になるので、多少無理をしてでも手に入れるべき必須アイテムです。


ギタリスト視点でのDAW入門 – ミキシングで曲を仕上げる」に続きます。