ZOOM / ARQ AR-96

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

そのユニークなビジュアルとパフォーマンスで、多くの人を驚かせたZOOMの新感覚の楽器、ARQ Aero RhythmTrak AR-96。そんなARQがデビューから1年を経て、バージョン2.0へと進化を遂げました。バージョン2.0では随所に渡って大幅なアップデートが行われており、さらに使いやすく、そして強力なパフォーマンス・ツールへと変貌しています。ARQとはどのような製品で、バージョン2.0では何が変わったのかをじっくり見ていきましょう。

さらに見やすく直感的に

ARQは、ドラム・マシン、シンセサイザー、シーケンサー、ルーパー、コントローラーなどパフォーマンスやビート・メイクに必要な機能を1台に凝縮した、オールインワン・ツール。非常に多くの機能を搭載してますが、使い方は非常にシンプル。本体に内蔵された音色やエフェクトを、ワイヤレスに対応した着脱式のリング型コントローラーで操作するのが基本です。音色やパターンを選んだりエディットする時に本体のディスプレイを使うのですが、バージョン2.0ではユーザー・インターフェイスが一新。さらに見やすく、感覚的に使えるようになりました。

具体的には、これまでの文字中心のインターフェイスはアイコン化され、より視覚的に。楽器やパラメーターがビジュアル化されたことで、パッと見ただけで現在の状況がわかるようになっています。音色やパターンを作る時もそうですが、何よりパフォーマンス・ツールとして使う際には操作ミスも減らせますし、この進化はかなり大きいです。

▲ARQはパフォーマンスやビート・メイクに必要な機能を凝縮した、新感覚のパフォーマンス・ツール。バージョン2.0でさらに便利で使いやすく進化しました

▲バージョン2.0でユーザー・インターフェイスが一新! さらに見やすく、使いやすくなりました

本格シンセ・エンジン

ここからはARQの各部を、見ていきましょう。まずはARQの心臓部である音源セクションから。ARQには、468種類のPCM波形と70種類にも及ぶシンセ波形を搭載。PCM波形にはドラムやパーカッションはもちろん生楽器のサウンドも収録されています。EDMなど最近のダンスミュージック・シーンを意識したハデなサウンドから、往年の定番音色、アコースティックまでバランス良く収録されており、ジャンルを問わずに使用できるようになっています。

音色やキットは、あらかじめ実戦的なプリセットとして収録されているので、呼び出すだけで使うことができますが、「EDITキー」を押せばフル・エディットも可能です。ARQが凄いのは、本格的なシンセサイザーと同様のパラメーターを使ったフル・エディットができる点。

オシレーター・セクションでPCM波形やシンセ波形を選び、フィルターやエンベロープ、エフェクトを使って細かく音作りを追い込んでいくことができるのですが、ユーザー・インターフェイスの一新でわかりやすさが向上。オシレーターだけでなくエンベロープやフィルターが視覚化され、パラメーターに応じて画面上のグラフィックも変化。サウンドを目で見て確認することができます。

エディットは、SELECTノブで変更したいパラメーターを選択し、ディスプレイ下の3つのつまみを使って数値を変更していくという方法。パソコン上のソフトウェア音源のような感覚でエディットができます。

▲数値だけではわかりにくいフィルターやエンベロープのカーブも、グラフィックで見れば感覚的にエディットできます

オリジナル音源を作成可能に!

バージョン2.0では、なんとオリジナルの音源も追加可能です。内蔵音源に加えて、キャプチャーしたサウンドを音源に、フィルターやエンベロープで加工したり、SDカードからWAVファイルをインポートして、内蔵オシレーターとして使うことができるのです。

キャプチャーというのは、本体の演奏を内部サンプリングしたり、INPUT端子に接続した楽器の音を取り込む機能です。これまではルーパー・モードでルーパー・シーケンスの素材の1つとしてしか利用できなかったのですが、バージョン2.0からは、このキャプチャー素材をシンセ音源として利用できる…つまりサンプラー的に活用できるようになったということ。

例えば、自分の声や楽器の声を楽器として演奏したりパターンを組んだり、サンプリングCDやDAWソフトで加工したドラム・サンプルをARQのシーケンサーで打ち込むことができるのです。これがやりたかった! まさにユーザー待望の機能です。

オシレーター・セクションの「Audio File」で使いたいオーディオ・ファイルを選択するだけで、すぐに音源として利用可能。この機能を使えば、無限のサウンドをARQに取り込むことができるのです。

また、LFOやエンベロープでモジュレーションできるブロックが6種類に拡張されています。

待望のアルペジエーターを実装

ワン・キーで様々なフレーズを奏でてくれるアルペジエーター機能は、ビートメイクからパフォーマンスまで欠かせない機能。ARQバージョン2.0では、かなり本格的なアルペジエーターが追加されています。アルペジエーター機能には「HOLD」キーを押してアクセスします。アルペジエーターがONの状態でパッドを押せば自動演奏がスタートする仕組みで、複数のパッドを押したときにはインストゥルメントが順番に発音されていきます。

もちろんアルペジオのカスタマイズも可能です。UpやDown、Randomといったアルペジエーターの定番パターンはもちろん、同じパッドを繰り返して発音する「Repert」や、パッドにシーケンスを記録しておき、そのフレーズで音色を鳴らす「Sequence」は、パーカッションをロールさせたりスタッターのような効果を作ったりと、単に自動演奏に留まらない使い方ができそう。発音タイミングや音域の指定ももちろん設定可能です。

▲新たにアルペジエーターも搭載。登録したシーケンスをアルペジオ・パターンとして使うこともできます

より快適に使えるシーケンサー

シーケンサー機能もパワー・アップ。ARQではパッドの演奏をリアルタイムに記録することもできますが、やはりリング・コントローラーのパッドを使ったSTEPモードが特徴。リング・コントローラーの1周32のパッドを使い、パッドを点灯させてフレーズを打ち込んでいくというモード。一度触れると点灯してON。

もう一度触れればOFFになるという超感覚的な打ち込みが行えます。しかもリング・コントローラーには円周上に3面のパッドが用意されており、同時に3ボイスの打ち込み状態をひと目で確認できるなど、ユニークな形状を活かした機能も特徴です。

これまでも十分使いやすかったのですが、バージョン2.0では打ち込み状況がディスプレイにも表示できるようになったのが大きな進化。ディスプレイの表記方法は、ドラムのようにデュレーションの関係ないパートの打ち込みに最適なドラム・マップと、ピアノ・ロールの2種類が用意されており、SELECTノブを押すことで瞬時に切り替えることができます。

実際に触ってみると、特に音階のある音色を打ち込む際のわかりやすさが格段に向上! ステップやデュレーションもノブで設定できるので、圧倒的にスピーディーでストレスのない打ち込みが行えるでしょう。

また作成したパターンを組み合わせてプレイできるSONGモードでも、画面がわかりやすく。さらに大きなニュースは、ソングの再生中にも、リング・コントローラーからのリアルタイム演奏ができるようになった点。これまではSONGモードではパターンのトリガーにしか使えませんでしたが、SONGをバックに生演奏を重ねるなど、パフォーマンスの幅が広がること確実です。

▲打ち込み状況がディスプレイで確認できるように。ピアノロールを使って音程のある音も簡単に扱えるようになりました

▲わかりにくかった設定も、視覚的に行えるようになっています

▲リング・コントローラーのパッドを使って、視覚的にパターンを打ち込めるのもARQの特徴。パターンはディスプレイ上にリアルタイムに反映されます

待望の専用エディター・ソフト

そして、これも待望のパソコン用エディター・ソフトに対応。現在(2017年7月末)はMac版が先行公開されていますが、Windows版もリリース予定とのこと。このエディターはパソコンとUSB接続するだけで即使用可能で、音色やパターンの呼び出しや編集など、ARQの主要機能すべてをコントロール可能! しかも各パラメーターは画面切り替えなく、1画面で確認できるので、音色やパターンの作り込みには必須!

その他にもリングの動きでエフェクト以外にも音色パラメーターなどをコントロールできたり、DAWの入力コントローラーとして使えるようになるなど、かなり力の入ったアップデート。新しくなったARQをぜひお試し下さい。

▲ARQの主要機能をひと目で確認でき、編集できる専用エディター・ソフトも登場


■主な仕様

●パッド数:96個(ベロシティ、プレッシャー・センス対応)●LED数:160個●LED色:多色発光●3軸加速度センサー:あり●パラメーター・ノブ:3●最大同時発音数:16●最大同時使用インストゥルメンツ数:33●オシレーター・タイプ:538(468種のPCM波形 + 70種のシンセ波形)●パターン数:384(176プリセット)●シーケンサー最大ステップ数:32ステップ●入出力端子:ライン入力(標準フォーンx2)、ライン出力(標準フォーンx2)、ヘッドフォン●外形寸法(W x H x D):260 x 64 x 260mm(ベース・ステーション)、280.5 x 33.5 x 280.5mm(リング・コントローラー)●重量:990g(ベース・ステーション)、540g(リング・コントローラー)

■販売価格

オープン(実勢価格:6万7,500円)

■お問い合わせ先

ズーム
メーカーの製品紹介ページ

関連記事

ページ上部へ戻る