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バンド録音の流れを徹底解説!

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音楽を作る上で最低限知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説していく「絶対わかるシリーズ」。最終回のテーマはバンド・レコーディング。作業の進め方やマイキングやミックスのコツまで、デジタル・レコーディングの集大成と言っても過言ではないでしょう。セルフ・レコーディングでも完成度の高い作品を作りたい…。そんな時に押さえておきたいポイントと作業の流れを紹介していきます。

■リハスタでもバンドは録れる

単純に録音作品を作るだけでなく、SNSや動画サイト用にバンドのPVや告知動画を作りたい…など、バンドでレコーディングしたいというケースは多いと思います。レコーディングをする際、最も手っ取り早いのが、レコーディング・スタジオを利用する方法。機材も録音技術もエンジニアにすべてお任せできるので、ミュージシャンは自分の演奏に集中できるというのがメリットです。

しかし、レコーディング・スタジオを使うにはそれなりの予算が必要です。特にバンド・レコーディングとなると、相応のスタジオが必要になるので、なかなか気軽に試せないのが実情ではないでしょうか。

一方、レコーディング/DAW機器が身近な存在になったことで、リハーサル・スタジオで録音する「セルフ・レコーディング」に挑戦するバンドも増えています。機材の準備やレコーディング作業を自分たちで行う必要はありますが、圧倒的にコストを抑えることができます。また、レコーディングに興味を持っている人であればかなり面白い作業/経験が得られるでしょう。セルフ・レコーディングの場合、機材を揃えるのが大きなネックになると思いますが、最近では需要が高まったこともあり、レコーディング機材をレンタルできるリハーサル・スタジオも増えています。

今回、取材に協力していただいたGATEWAY STUDIO 高田馬場戸山口店ではレコーディング用のマイク・セットが安価でレンタルできたり、スタジオによってはオーディオ・インターフェイスをレンタルできる場合もあります。こういったサービスを活用すれば、セルフ・レコーディングのハードルはグッと下がります。

機材面がクリアできれば、あとはレコーディングのテクニック。本職のエンジニアのようなノウハウは一朝一夕で身につくものではないので、そこは試行錯誤でカバーしましょう。納得がいくまで時間をかけられるのがセルフ・レコーディングのメリットですので、いろいろなセッティングを試してベストなサウンドを作っていけばOKです。「習うより慣れろ」の精神で何度か経験を積めば、リハーサル・スタジオでも十分納得できるクオリティーのレコーディングができるはず。その過程も楽しみながら取り組んでいきましょう。

バンド録音に必要な機材

今回のレコーディングに協力していただいたのは、早稲田大学の「炭酸事情」というボーカル&ギター、ギター、ベース、ドラムの4ピース・バンド。まずはレコーディングに使用した機材から見ていきましょう。

演奏を記録するレコーダーには、「ZOOM / L-12」とDAWを組み合わせて使いました。L-12はコチラのページで詳しく紹介しています。ミキサー/レコーダー/キュー・システムとバンド・レコーディングに必要な機能を凝縮したオールインワン・モデルです。機材も減らせますし、シンプルに使いたい方はハードウェアのレコーダーを使うのがオススメです。

まずはZOOM / L-12を使って一発録り。この演奏をガイドとして聴きながら、各パートを個別にレコーディングしていきます

オーディオ・インターフェイスは「Roland / OCTA-CAPTURE UA-1010」。手頃な価格ながら8系統のマイク・プリアンプを搭載した、バンド録音にピッタリのモデルです。組み合わせるパソコンは「Apple / MacBook Air」。バリバリ打ち込みをしたり、ミックスダウンするには心許ないスペックですが、同時8チャンネルのレコーディング程度であればそこまでのスペックは必要ありませんので、モバイル・ノートでも十分対応できるでしょう。

続いてマイクは、GATEWAY STUDIOでレンタルした「MIC SET(AKG D112×1、SHURE SM57×4、SENNHEISER MD421×3、BOSS DI-1×1、

SONY MDR CD900ST×1)」に加えて、「NEUMANN / U87 Ai」、「RODE / NT5」などを持ち込んでいます。

一発録りでガイドを作る

バンド・レコーディングには、“せーの”で全パートを一気に録音する「一発録り」と、各パートごとに別々で録り重ねていく「ダビング」といった手法がありますが、今回はダビング形式を採用。ドラムから順々にレコーディングしていきました。とはいえ、いきなりクリックだけ聴いてドラムを録るのは相当レコーディング慣れしているドラマーでないと難しいです。また、バンドの勢いやノリも出しにくいので、まずは一発録りを行い、それをガイドとして聴きながらダビングしていくことにしました。なお、ドラマーにだけ、クリックを聴きながら演奏してもらいます。

ガイド用なのでリニアPCMレコーダーなどで一発録りしても良いのですが、ダビングの際に自分のパートをミュートできた方が便利なので、8チャンネルのマルチで録音していきます。チャンネル構成は以下の通りです。

 Ch1:ボーカル

 Ch2:ギター(ボーカリスト)

 Ch3:ギター

 Ch4:ベース

 Ch5:キック・ドラム

 Ch6:スネア・ドラム

 Ch7:オーバーヘッド – L

 Ch8:オーバーヘッド – R

このテイクは、あくまでガイドとして使用することが目的なので、曲の全体的な流れが問題なければ、各パートの細かい演奏ミスはあまり気にしなくてOKです。

演奏しやすいモニターを作る

ここからは、一発録りのサウンドを聴きながら各パートを録り重ねていきますが、その前にレコーディングを行う時に意識して欲しい、いくつかのポイントに触れておきましょう。レコーディングというと、マイキングなどテクニカルな部分に意識が向いてしまいがちだと思います。良いテイクを引き出すためには、プレイヤーが演奏しやすい環境を作ることが必要不可欠です。

最も影響が大きいのが「モニター環境」でしょう。これは何もレコーディングに限った話ではなく、ライブでも同じ。どんな音をどんなバランスで聴いて演奏するかによって、パフォーマンスはまったく変わってきます。そのため、レコーディング・スタジオでは「キュー・ボックス」を使い、演奏者ごとに好みのモニター・バランスを作れるようになっています。快適なレコーディングを行うためには、ぜひともキュー・ボックスが欲しいところですが、安いものではありませんし、システムも複雑になってしまいます。

同時に録音する楽器が1つの場合、専用機を用意せずとも、同様のモニター環境を比較的簡単に作ることができます。1つ目のパターンが、個別にモニター・ソースが割り当てられるヘッドフォン出力を持ったオーディオ・インターフェイスを使う方法。多入出力のオーディオ・インターフェイスの場合、内部にデジタル・ミキサー機能を備えていることが多いので、それをキュー・ボックス代わりに使用します。複数のヘッドフォン出力を搭載するモデルでは、HP1はエンジニア用、HP2はプレイヤー用…といった具合に別のモニター・ミックスを作ることができます。

オーディオ・インターフェイス内で細かいルーティングの変更ができない場合やヘッドフォン端子が1つしかないような場合は、リハスタに常設された「ミキサー」を活用しましょう。まずオーディオ・インターフェイスの出力端子をパラでミキサーに入力。あとはDAWソフトから、楽器ごとに別の出力端子にルーティングします。ケーブルをたくさん接続する必要はありますが、ミキサーのフェーダーを使ってプレイヤー自身が感覚的にボリューム調節できるのがメリットです。各パートをどれだけ細かく出力するかは、使用するオーディオ・インターフェイスの出力数によっても変わってくると思いますが、最低でも自分の音、自分以外のオケ、クリックの3系統を別に出しておくと、演奏しやすさはグッと高まるはずです。逆に、あまり細かく出しすぎてもプレイヤーの混乱を招くだけなので、各楽器ごとにステムにまとめる程度で十分でしょう。

マルチ出力が可能なオーディオ・インターフェイスと、スタジオ常設のミキサーを組み合わせれば、簡易的なキュー・ミキサーとして利用することができます

ストレスなくテイクを録るために

レコーディング中は、同じ演奏を何テイクも録ったりパンチ・インしていくことになると思いますので、できるだけプレイヤーを待たせることなく、DAWソフトをオペレートすることも大切です。例えば、「今のテイクをキープしたままもう1テイク試したい」という場合に新規トラックを作って入力ポートを設定して…とやっていくと時間がかかるので、DAWのテイク機能を活用したりと、できるだけスムーズなオペレートを心がけましょう。また、パンチ・インが増えてきたら、テイク判別のためにクリップを色分けしておくと、後々便利です。

レコーディングがスムーズに進むように、トラック構成を工夫したり、コンピング機能を活用していきましょう。必要に応じて色分けしておくと、後で確認が楽になります

ドラムへのマイキング

ドラムのマイク構成を考える

キックやスネア、タム…といった各パーツごとにマイクを立てていくため、バンド・レコーディングの中で最も難しいパートといっても良いかもしれませんね。

ドラムを録る上で、まず最初に考える必要があるのがマイク構成。つまり、何本のマイクを使って録るかという部分です。パーツごとに個別にマイクを立てた方が、録音後の編集や音作りの面では有利ですが、マイクの本数が増えると各パーツごとの「かぶり」を考慮する必要があります。かぶり自体は必ずしも悪いものではありませんが、位相も関係してくるので気にすることが増えてしまいます。

そのため慣れないうちは最初からパーツごとにマイクを立てるより、限られた本数…例えばオーバーヘッド2本+キック、スネアの計4本程度を立ててみて、どのようなサウンドになるのかを確認しておくのがお勧めです。今回のように本テイクの前に一発録りをする場合は、一発録りの際に録れた音を基準に、足りない要素を補うようにマイクを追加していくと仕上がりがイメージしやすいと思います。

今回はキック、スネア(表&裏)、ハイ・タム、ロー・タム、オーバーヘッド(L/R)、ルームの8本のマイクを使用しました。それぞれ詳しく見ていきましょう。

キック・ドラム

現代の楽曲において、キック・ドラムは非常に重要視されるパーツの1つです。しっかりとした低域がありつつ、締まって聴こえる…そんなキックを作るためには、マイクの位置を工夫する必要があります。

ほとんどの場合、キックのフロント・ヘッドに穴が空いているので、ここにマイクを突っ込むのが基本のセッティングです。そのため、通常のブーム・スタンドではブームの長さが足りず、思うような位置にセッティングすることが難しいので、ショート・ブーム・スタンドを使います。「音が出ている場所にマイクを向ける」のがマイキングの基本なので、ちょうど打面を裏側から狙うイメージでしょうか。ポイントは、打面との距離と角度。打面に近づけるほど、アタック感のある音に、逆に打面から離していくとドスッという鳴り感を捉えることができます。

どのくらいの低域感が欲しいのかを聴きながら、マイクを前後に動かしていくと好みの場所が見つかると思います。ただ、いくら低域感が欲しいからといって、打面から離しすぎてしまうとアタックがなくなり、オケの中で埋もれてしまう原因につながります。ミックス時にEQで補正はできるので(もちろん限界はありますが…)、少し打面寄りを狙っておくと失敗が少ないと思います。

また、ドラマーがキックを踏むことで、フロント・ヘッドの穴から空気が抜けていきます。もし吹かれてしまう場合は、マイク自体を少し角度を付けるように対応してください。今回は「audio-technica / ATM25」を使用しました。

キックにはaudio-technicaのATM25を使用しました。注:実際のマイキングは、もっと打面に近づけています

スネア・ドラム

スネア・ドラムは、楽曲の雰囲気やドラマーの個性を表現する上で重要なパーツです。ドラマーもこだわりが強いと思いますので、イメージ通りのサウンドが得られるようにじっくりセッティングを追い込んでいきましょう。

基本的には、ドラマーの反対側からスタンドを立て、スネアの打点を狙えばOKです。この時にあまりスネアの中心を狙い過ぎると、アタックだけが強調されてスネア特有の鳴りの要素が薄くなってしまいます。同時に、マイクをスティックで叩かれやすくなってしまうので、リムから数センチ程度を目安に調節してみてください。また、マイクの角度によってもサウンドは変化します。皮鳴りが欲しい場合にはヘッドを狙って角度を付けて、逆に寝かせるようにヘッドと平行に近づけていくとリムの要素が強調された傾向になります。いくつかのポジションでサウンドを録り比べてみて、ドラマーの意見を聴きながら音決めをすると良いでしょう。

スネアへのマイキング例。打点との距離や角度によって、サウンドが変化します。好みがハッキリ出るパーツなので、ドラマーの意見を聞きながら、調整してみてください

これはスネアに限った話ではありませんが、マイキングの大前提はプレイヤーの演奏を妨げないこと。マイクの位置を意識するあまり、プレイに集中できない…ということがあっては、本末転倒です。

今回は「Shure / SM-57」を使用しました。57はスネア収録の定番ですので、セッティングさえ決まればイメージ通りのサウンドが録れることでしょう。また、チャンネルに余裕がある場合は裏面に立てるのも効果的です。表(TOP)側のマイクでは皮の鳴りを、裏(BOTTOM)側マイクで、スネアの底面に付けられたスナッピーの音を収音。2本のマイクを組み合わせることで、スネア本来のサウンドを作り上げることができます。この時、2本のマイクはちょうど逆相の関係になるので、裏側のマイクは位相を反転させるのをお忘れなく!

チャンネルに余裕があれば、ぜひ裏側にもマイクを立ててみてください。スナッピーの要素を混ぜることで、音作りの幅が飛躍的に広がります

タム・タム

タムも基本的にはスネア・ドラムと同様にフラム側から打点を狙うようにセッティングしていきます。欲しいサウンドにもよりますが、スネアよりもマイクを立て気味に縁側を狙っても良いでしょう。今回は、ハイ・タム、フロア・タム共に定番の「SENNHEISER / MD421II」を使用しました。

なお、これはミキシング時の作業ですが、タムは他のパーツに比べて叩く頻度が低いと思いますので、演奏していない部分は波形をカットするか、ゲート(エフェクト)をかけて、ミュートしてしまうのがオススメ。タムはカブリも多いので、カットすることでスッキリとサウンドをまとめることができるでしょう。

オーバーヘッド/シンバル

続いて、オーバーヘッドは「ドラム・セット全体を録る」のか「シンバルを録る」のかによってセッティングが大きく変わってきます。ドラム・セット全体を録る場合、ドラマーの頭上にマイクを立てていきます。ドラマーがいつも聴いているのに近い、バランスの取れたサウンドを収録することができるので、少ないマイクでドラムを録りたい時に有効でしょう。2本のマイクを使って録ることが多いと思いますが、このときにマイクを交差するような位置に配置させる「XY方式」がオススメです。XY方式は、各マイク間の位相差を気にする必要がないので、ドラマーの背面側にセッティングするだけで、良い感じの音を録りやすいでしょう。

今回のように、各パーツにマイクを立てていく場合は、ドラム全体というよりもシンバルを中心に狙うイメージも有効でしょう。とはいえ、全シンバルにマイクを割り当てるほど余裕はないと思うので、複数のシンバルを1マイクでカバーする必要が出てきます。基本的には各シンバルから等距離になるような位置にマイクを立て、すべてのシンバルがバランス良く収音できるポイントを探していきましょう。

マイクを立てる位置によっては、かなりの音量になるので、コンデンサー・マイクを使う場合は入力がクリップしてしまう可能性も考えられます。その場合は、マイク側のパッド・スイッチを入れておきましょう。

オーバーヘッドは、ドラム全体を録りたいのか、シンバルを録りたいのかによってセッティングが変わってきます

ルーム・マイク

今回のレコーディングでは、さらにドラムの正面上にマイクを立てて「ルーム・マイク」としてキット全体を収録しました。ルーム・マイクとしてアンビエンスを録るというよりも、ドラム全体の一体感を作るために使用しています。場合によっては、ミキシング時に激しくコンプで潰して混ぜるなどルーム・マイクは何かと使い勝手が良いと思います。

その代わり、チャンネル数の関係でハイハットには個別マイクを立てていません。ハイハットは、音量としてはシンバルのマイクで十分拾うことができますが、細かいシンバル・ワークを大切にしたい場合は個別にマイクを立てる必要があるでしょう。このあたりは求めるサウンドに応じて使い分けてください。

マイクに余裕がある場合、ルーム・マイクでドラム全体の鳴りを捉えておくのもオススメです

意外な盲点!? チューニングにこだわる

どうしても思うようなサウンドにならない場合、マイキングやエフェクトで悩む前にドラム自体のチューニングを見直してみてはいかがでしょうか。プロフェッショナルのレコーディングでは、録る曲のイメージに合わせ、時間をかけてチューニングを行います。特にリハーサル・スタジオの場合、必ずしもキットが良い状態に保たれているとは限らないので、チェックしましょう。

また、皮モノはミュートも必須です。キックの場合は、中に毛布などを詰めたり、スネアやタムはミュート用のアイテムやガムテープなどを使うことで、余韻をコントロールできます。この2つを意識するだけでも、スッキリとした抜けの良いドラムに近づけるはずです。

ベース/ギターの録音

ベースはラインで収録

続いてレコーディングしたのは、エレキ・ベース。もちろんベース・アンプにマイクを立てて収録しても良いですが、今回のベーシストは基本の音作りをマルチ・エフェクター「ZOOM / B3」で行っている…ということで、B3のバランス・アウト端子から直接オーディオ・インターフェイスに入力。ライン・レコーディングを行いました。

ベースの収録では、アンプにマイクを立てる場合もD.I.を使い、アンプと同時にラインの音を録っておくことが一般的になっています。D.I.の方が安定した音を録りやすいですし、ミキシング時にアンプの音に混ぜたり、プラグインのアンプ・シミュレーターで音を作ったりと音作りの幅が一気に広がります。低域を担う重要なパートですから、保険をかけておくと安心です。

ベースは、エフェクターのバランス出力からのライン・レコーディングを行いました

オケに入れて聴いてみる

ギターはアンプにマイクを立ててレコーディングしていきます。ギタリスト的にはもっともこだわりたいパートだと思いますが、なかなかイメージした通りの音を録るには苦労すると思います。というのもギタリストは普段、アンプから少し離れたところで音を聴いて演奏していると思いますが、マイクの場合はキャビネットに近い位置(オンマイク)で録るために、どうしても普段聴いている音とマイクで拾った音に差が生まれてしまいます。かといって、離れた位置にマイクを立てると、音像がぼやけてしまう…。レコーディングに慣れないうちは、このギャップに苦労する人が多いようです。

そんな時は、ギターの音を単体で聴くのではなく、オケに入れて音量やパンを軽く整えた状態で聴いてみてください。こうすることで、オケの中でどのような音を作るのかをイメージしやすくなると思います。また、あえてギタリスト以外のメンバーにマイクをセッティングしてもらう…というのも面白いかもしれません。

ギター・アンプは、マイキングによってサウンド変化が大きいパートなので、時間をかけて追い込みましょう

マイク位置によるサウンド変化

ギターやベース・アンプへのマイキングは、当然スピーカーに向けていくのですが、スピーカーのどの位置にマイクを向けるかによって、サウンドはかなり大きく変化します。具体的には、センターに近づけるほど、チリチリとした高域中心の明るい音に。反対にエッジに近づけていくと、角が取れて柔らかめのサウンドを録ることができます。角度や距離によっても変化しますので、いろいろなパターンを試していきます。

一つ注意して欲しいのは、スピーカーど真ん中のセンター・キャップからは音が出ていないということ。中央を狙う場合には、センター・キャップとコーンの境界あたりを目安にしてみてください。

アンプの収録といえば、スタンダードなのが「Shure / SM 57」。クリーンからディストーションまで、ジャンルを問わずに一定のサウンドを得ることができます。ただ、全体的に中高域寄りのサウンドなので、セッティングを工夫しても思うようなサウンドが録れない場合はマイクを追加してみるのもオススメです。今回は中低域に不足を感じたため、「SENHEISER / MD421 II」を追加し、2本のマイクで録音しています。場合によっては、少し離れたところにコンデンサー・マイクを設置して空気感を加えるというのも良いかもしれません。

このように、キャラクターの異なるマイクを組み合わせることで、立体的なサウンドを作ることができます。ぜひ試してみてください。

中央に近いほど高域寄りの明るい音に。エッジに近づけていくと、まろやかなサウンドになっていきます

ボーカル録音とミックス

良いボーカルを録るためには

楽器隊が録り終わったらラストはボーカル。楽曲のメインになるパートですので、じっくり録っていきましょう。録り方はボーカリスト次第ですが、あるセクションを完璧に歌い上げるまで繰り返し録るよりも、曲全体、もしくはセクションごとに一通り録った後で気になる部分を録り直す方が時間も短くて済むはずです。ボーカルの場合、疲れやストレスがダイレクトに声質に影響します。テイクによって声質が違って、コンピングした際に違和感が出る…なんてことも往々にしてあり得るので、声の変化にも気を配りながら、作業の進行を考えましょう。

良いボーカル・テイクを録るためには、機材や録音テクニックよりも、リラックスしてもらい、同時に歌いやすい環境を作ることでボーカリストの実力をフルに引き出すことが重要です。

機材面についても一応触れておくと、録り音に関していえば、インターフェイスやマイク・プリアンプといった機材よりも、マイク自体の差が何より大きいので、やはりコンデンサー・マイクを用意しましょう。今回は、「NEUMANN / U87Ai」を使用しています。

マイクはスタジオでレンタルできる場合もあると思いますが、できればボーカリストの声と相性の良いマイクを自前で用意しておきたいところ。今後も録音を行うのであれば、少し無理してでも良いマイクを持っておくと、クオリティーはもちろん、録音技術の向上という面でも有利(上達が早い)です。

ボーカル修正も必須。完璧に合わせるよりも、ボーカリストの歌を生かした修正を意識しながら作業します

何を聴かせたいかを意識する

スタジオから持ち帰ったデータは、自宅で時間をかけて仕上げていきましょう。ミックスに入る前に、タイミング合わせや不要部分の削除、フェード処理といった波形のトリートメントやボーカル修正を済ませます。

ミックスは、 やみくもにエフェクトをかけたりバランスを変えていくと無尽蔵に時間がかかってしまいますので、「こんな曲にしたい」という完成系をイメージし、何をどのように聴かせたいのか、そう聴かせるためにはどうすれば良いのかを意識してみてください。

タイミングのズレが気になる部分は、波形編集で合わせていきます。あまり神経質になりすぎるのも良くありませんが、キックとベースのタイミングを合わせることで、リズムが引き締まります。また、特にブレイクやキメの部分は、しっかりと合わせておきましょう。なお、波形をいじった場合はフェード処理を行いましょう

各パートごとに、最適な処理を施していきます。ミックスは「こうすれば良い」という決まりがない作業なので、とにかく試行錯誤が重要です。EQやコンプの基本的な使い方は、本誌webサイトで公開中の過去の特集を参考にしてください

メンバー全員でミックスを確認。意見をすり合わせながら、完成系を作っていきます

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