バランスの良いミックスには、まずそのベースとなる適切にチューニングされたPAシステムが必要です。TRACT System Calibrationは、あらゆるPAシステムを、素早く簡単にチューニングするためのプラグインです。Rational Acousticsによる業界標準のオーディオ解析Smaart®ソフトウェアを統合することで、あらゆるサウンド・システムのEQ補正を半自動化、タイム・アライメント機能も提供します。
すべての画家にとって、絵画を描くためのクリーンなキャンバスが必須であるように、エンジニアにはミックスを始めるためのバランスのよいサウンド・システムが必要です。しかしサウンド・システムはそれぞれに異なり、環境によってふるまいも変わります。だからこそ、パフォーマンスをスムーズにするための補正が必要です。これが、ライブ・サウンドにおいてPAチューニングと呼ばれるプロセスです。
適切なチューニングを施さなければ、システム全体の周波数特性とそのふるまいは不安定なものになります。楽曲はいつもと違ったサウンドに聞こえ、ミキシングによる調整も、思うようなレスポンスを得られなくなるかもしれません。さらに悪いことに、システム全体のタイムアラインが揃えられていなければ、位相差によるフェイズ・キャンセルによって貴重な低域のインパクトが影響を受けます。多くのケースで、 PAシステムに標準で搭載されているプロセッサーは限定的なものが多く、サウンドチェックの時間も限られています。こうした状況において、TRACTが救世主となってくれるはずです。
TRACTはSmaart v8またはDi v2のデータを使用して補正用FIR EQカーブおよびタイムアライメント補正を解析します。最大8個までシステムの測定スナップショットを取り込み、それらをマージしてEQ補正の基礎のリファレンスとして選択することができます。TRACTにはあらかじめ4つの一般的なリファレンス・カーブが収録されていますが、もちろん独自のリファレンス・プリセットを作成して保存することも可能です。
FIR EQの解析が完了すると、リファレンス・カーブの変更などの操作が可能になります。周波数や音量レンジの制限、また最大8バンドまでIIR EQ フィルターを補足的に適用することが可能です。IIRフィルター・シェイプは、Bell, Low/High Shelves, Flat-Tops, ButterworthおよびLinkwitz-Rileyから選択できます。可変周波数ピボット・ポイントを備えたTilt EQ 、そしてAll-Passフィルターも用意されています。
- 自動補正EQおよびタイムアライメントで素早くサウンド・システムをチューニング
- Smaart v8およびDi v2を統合、正確な計測・解析が可能*
- ライブ・サウンド、スタジオで、MultiRack、eMotion LV1、一般的なDAW上での動作が可能
- 位相差を最小限に抑えたFIRおよびリニアフェイズFIRコンポーネントを内蔵
- 補正用FIR EQ を作成しシステムEQのバランスを調整
- 最大8個までレスポンス測定シグナルのスナップショットをキャプチャ可能
- 業界標準の8バンドIIRフィルター搭載
- カスタム・リファレンス・カーブを作成可能
- サウンド・システムのタイムアライメントを解析、ディレイを追加可能
- サブ・ズーム機能で低域を拡大しながらサブのフェイズアラインを調整
- Smaartを使わない場合でも、ハイクオリティな8バンド・イコライザーとしても使用可能
*Smaart®ソフトウェアおよび関連するSmaart v8、Di v2の操作方法についいては弊社サポートの対象外となります。