Positive Grid / BIAS Twin Pedal
- 2018/1/29
- 製品レビュー
- Positive Grid, ギター・エフェクター, 特集記事
いろいろなペダルを試し、組み合わせて自分好みのサウンドを追求していく…。これはエレキ・ギターの大きな楽しみであると同時に、終わりの見えない作業です。というよりも、完璧を目指すならば自分で設計から手がけなければ無理なのかもしれません。そんなサウンドにとことんこだわるギタリストのためのペダル、Positive GridのBIAS Twin Pedal Seriesを紹介します。
理想を叶えるエフェクター
世界には数え切れないほどのエフェクターが存在していますが、すべてを試すのは不可能です。試せる範囲や定番のエフェクターの中から、好みに近いペダルを選ぶ…というのが現実でしょう。そんなエフェクターの“常識”を覆す次世代ペダルとして話題を集めているのがPositive GridのBIAS Pedalシリーズです。
Positive GridはパソコンやiOSデバイスで使えるアンプ/エフェクター・プラグインでお馴染みのブランドです。近年はリアル・アンプとして使えるBIAS Headなどのハードウェアも話題。そんなPositive Gridのハードウェア製品の大きな特長は「ハードウェアとソフトウェアを融合させている」という点です。
BIAS Pedalシリーズでは、主要なペダルのサウンドをスイッチ1つで切り替えられるだけでなく、プラグインやiOSアプリと組み合わせることで、通常のエフェクターではいじることのできない内部パラメーターまでカスタマイズできるというのが最大の魅力です。最初から入っているサウンドも申し分ないので、「純粋に良い音のエフェクター」であると同時に「好みのトーンをとことん追求できる改造エフェクター」という2つの側面を持っているのです。
BIAS Twin Pedal Series
そんなBIAS Pedalシリーズの新しいラインアップとして登場したのが「BIAS Twin Pedal Series」です。従来のPROシリーズが4フット・スイッチだったのに対し、Twin Pedalではその名の通り2スイッチ仕様となり、ボディー・サイズも約半分になっています。
サイズの関係でコントロール・ノブの数も8(PRO)から6(Twin)、プリセット数も20(PRO)から9(Twin)に簡略化されていますが、肝心のサウンド部分や機能は一切妥協なし。高い評価を得ているBIAS Pedalのサウンドと機能はそのまま受け継いでいるので、ペダル・ボードをコンパクトに抑えたいギタリストにピッタリと言えるでしょう。
全シリーズ共通の機能として、パソコンとはUSB、iOSデバイスとはBluetoothで接続することで、ペダルのカスタマイズやプリセットの入れ替えが可能。プラグイン上で行ったエディットをペダルに保存することで、通常のエフェクターとして使うことができます。
また、世界中のユーザーが作成したペダルを自由にダウンロードできるToneCloudも利用可能です。ペダルをカスタマイズできるのがBIAS Pedalの特長なので、単なるプリセットではなく別のエフェクターを手に入れるような感覚で楽しめます。もちろんオリジナル・ペダルをアップロードすることもできます。
BIAS Distortion Twin
ここからは、各製品について詳しく見ていきます。まずは歪み系の「BIAS Distortion Twin」。オーバードライブやディストーションに並々ならぬこだわりを持っている方も多いと思いますが、歪みにうるさいギタリストをも満足させてくれる仕様になっています。
ハードウェア部分から見ていくと、コントロールはGAIN、TONE、BLENDにLEVEL、BOOSTとシンプル。ブースターは、サウンド・キャラクターをTREBLE/CLEAN/FATの3段階から選択できるようになっています。ファクトリー・プリセットとして、定番とされている9種類のドライブ・ペダルが保存されているので、好みのモデルを選んで音作りをしていくことになります。どのプリセットもオリジナル・モデルの特長がしっかりと再現されており、つまみをいじった時のサウンド変化も極めて自然な印象で、デジタル感を一切感じません。
BIAS Pedalアプリケーションを使うことで回路のカスタマイズが行えるのですが、これが非常に面白く、同時に奥深い世界です。例えば、GAIN一つとってもClipping StageとOutput Stageの2段階で調節可能。どこでドライブさせるかによって、まったく違う印象の歪みを作ることができます。もちろんゲルマニウムやシリコン、JET、MOSFETなど歪みの基本キャラクターを変化させることもできます。
とはいえ、内部の細かいパラメーターまで知っている人は稀だと思います。パラメーターが多いので一見すると小難しく見えてしまうかもしれませんが、弾きながら適当にいじっていくだけでも十分に音作りが可能。理論や仕組みがよくわからなくても大丈夫です。ザックリと言いうと、Clipping Stageで基本となるトーンを。Output Stageで質感を調整し、Power Moduleで弾き心地を調整するようなイメージでしょうか。まずはプリセットをベースにパラメーターをいじってみてください。最初は各セクションのLOWCUTやHICUTを調整するだけでも、好みのキャラクターが作れると思います。
BIAS Delay Twin
効果はシンプルですが、だからこそ好みがハッキリと分かれるエフェクターであるディレイ。「BIAS Delay Twin」は最長3,000msというデジタルならではのスペックを備えています。
こちらもファクトリー・プリセットは9種類。デジタルならではのクリアでハイファイなディレイから、アナログらしいウォームなディレイ。不安定さが心地良いテープからリバースのような飛び道具的な効果まで満載です。全体的に原音を邪魔することなく、かつディレイ音はしっかりと存在感を主張してくれるので、音が団子になりにくく使いやすい印象です。プリセットだけでも十分なバリエーションが得られます。
コントロールはFEEDBACK、MIX、TONE。NOTEはトグル・スイッチで4分音符、付点8分音符、そして8分3連の3種類を選ぶことができます。また、モジュレーションとリバーブを搭載しているのがポイントです。ディレイ・タイムはTAPスイッチで設定できるようになっています。
BIAS Pedalアプリケーションでは、Delay Stage、Mod Stage、Power Stageの3セクションでサウンドを追い込むことができます。3,000msのテープ・ディレイ…という音作りができるのは、デジタル・ペダルならではの利点。モジュレーションではコーラス、フランジャー、フェイザー、トレモロが使用可能なので、同即的なシューゲイザー・サウンドも簡単に生み出すことができます。
BIAS Modulation Twin
最後はモジュレーション・ペダルの「BIAS Modulation Twin」。コーラスやフランジャーといったモジュレーション系は、ジャンルにもよりますが常時ONで使うというよりも「特定の曲のある一部分でだけ使いたい」というシーンが多いと思います。BIAS Modulation Twinは1台で9種類(コーラス、ビブラート、フランジャー、ロータリー、フェイザー、トレモロ、パン、リングモジュレーション、オート・スウェル)のモジュレーション・サウンドを自在に使い分けることができます。エフェクト・ボードに組み込んでおくと重宝するでしょう。
コントロールは、DEPTH、INTENSITY、 RATEとモジュレーション・ペダルでお馴染みのパラメーターに加え、エフェクト特有のパラメーターをコントロールするTWEAK 1、TWEAK 2を装備。LFOは3パターン(サイン波、三角波、矩形波)が選べるようになっています。
3つのモデルに共通して言えるのは、サウンドの良さも含めて純粋にエフェクターとして完成されていること。アナログとかモデリングとかそんな些細なことではなく、単純にエフェクターとして魅力的。それがBIAS Twin Pedalです。
■主な仕様
●本体:金属筐体が強靭なビルド・クオリティーを確保●ノブ:5つのノブでトーン調整、優れたハードウェア・コントロールを実現●フットスイッチ:2つの頑丈なフットスイッチで、プリセット変更、タップテンポ設定(Distortionのみブースト設定)●インストゥルメント入力:ステレオ 1/4インチ TS Hi-Z入力(モノラル 1/4インチ TS Hi-Z入力:Distortionのみ)●エクスプレッション・ペダル入力:1/4インチ TRS 入力●出力:ステレオ 1/4インチ TS 出力(モノラル 1/4インチ TS 出力:Distortionのみ)●USB:Micro USBコネクターでBIAS Pedalデスクトップ(PC/Mac)と接続可能●ワイヤレス:BIAS Pedal iPadと接続●電源:9V DC センター(-) またはMicro USBによるバスパワー
■販売価格
各3万9,800円(税込)
■お問い合わせ先
メディア・インテグレーション
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