Jim Dunlop / Cry Baby MINI 535Q WAH
- 2018/5/17
- 製品レビュー
- Jim Dunlop
表情豊かなワウ・サウンドを、コンパクト・ボディーに凝縮
ワウ・ペダルのスタンダード
ギターの音の周波数成分を変化させ、その名の通り「ワウワウ」とうねりのある印象的なサウンドを作り出すのがワウ・ペダル。ロック系のリフやリードからカッティングまで、ジャンルを問わずに活用される定番のエフェクトです。そんなワウ・ペダルの中でも定番になっているJim DunlopのCry Babyは、その名の通り泣いているかのような、感情に訴えるような表情豊かなサウンドが魅力です。
Cry Babyシリーズの中でも、多彩なサウンド・キャラクターで高い評価を得ている535Qを小型化した「MINI 535Q WAH」をレビューしていきます。
ワウとEQは似ている?
ワウというのは、ギターやベースの周波数要素を変化させるエフェクター。一見、特殊なエフェクトのようにイメージしてしまうかもしれませんが、実は基本的な原理は身近なエフェクトと同じ。そのエフェクトというのがEQ…より厳密に言えばパラメトリック・イコライザーです。
アンプに搭載されているEQや、ストンプ・ボックスでもお馴染みのグラフィックEQはあらかじめ周波数が決まっており、どのくらいブースト/カットさせるかによって音作りを行うエフェクトです。それに対してパラメトリック・イコライザーというのは、ブースト/カットする中心周波数を決める「Freq」や、効果が掛かる範囲を調整する「Q」によって細かく設定できるのが特長で、PAミキサーやレコーディング時のサウンド補正に主に使われています。
ワウ・ペダルの場合は、Qを固定した状態で、Freqをペダルで変化させており、これによって独特のワウワウ効果を作り出しています。
感情に寄り添うワウ・ペダル
そんなこと知らなくても困らないよ…なんて言われてしまいそうですが、MINI 535Qを使う上で、このワウの基本原理は非常に重要です。というのも、MINI 535Qには通常のワウ・ペダルにはない「Wah Range」と「VariableQ」というコントロールが用意されているのです。
Wah Rangeは、その名の通りペダルを操作した時にワウワウ効果が掛かる範囲を3段階で設定するスイッチで、幅を小さくすればカッティングと相性抜群の大人しめのサウンド、逆に大きくすればトリッキーでド派手なワウ・サウンドを作ることができます。
VariableQつまみでQの幅をコントロールすれば、サウンドにクセを付けることができます。従来であれば、欲しいサウンドによってワウ・ペダルを使い分ける必要がありましたが、MINI 535Qなら、自分の好みや演奏する楽曲に合わせて理想的なワウ・サウンドを得られるのです。また、ブースト幅が設定可能なブースター回路も搭載されています。こういったカスタマイズ性により、ギタリストの感情をダイレクトに表現することができるのです。
MINI 535Qは、一般的なワウ・ペダルの約半分の大きさ。奥行きはコンパクト・エフェクターと同じくらいなので、ペダル・ボードをコンパクトにまとめたいという人にピッタリです。サイズが小さくなると、ペダルの操作がしにくいのでは…と思われるかもしれませんが、その点も心配ありません。しっかりとした踏みしろと操作感があるので、小さくても思った通りの踏み込みができ、「半止め」も思うがまま。初めてのワウ・ペダルにも最適です。