Roland / AX-Edge レビュー

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昨今の楽曲において、「キーボード/シンセサイザー」は欠かすことのできないパートです。しかし演奏しながら動くというパフォーマンスができないこともあってか、ステージ上ではボーカルやギター等に比べてちょっと目立たない…。

今回は、ステージでもバンバン目立ちたいキーボーディスト必見の最新ショルダー・キーボード「Roland / AX-Edge」をレビューします。

ショルダー・キーボードの歴史

とその前に、簡単にショルダー・キーボードの歴史を振り返ってみたいと思います。ここ最近だとVOCALOID Keyboard(YAMAHA)やVortex Wireless 2(ALESIS)などが注目を集めていますが、80年代にはローランド、ヤマハ、コルグ、モーグ、カシオ…など様々なメーカーから特色あるモデルが発売されていました。

ローランドも1984年にAXIS-1というモデルを発売しており、これが現在の「AXシリーズ」の原型といって問題ないと思います。余談ですが、現在はプラグアウト・シンセとしても復刻されているSH-101にもネック・グリップを取り付けることで、ショルダー・キーボード的に演奏することもできました。

その後AX-1やその後継モデルのAX-7などが登場。しばらく期間が空き、音源を搭載したAX-SynthやAX-09 Lucinaへと進化してきました。

AX-1の後継モデルとして2001年に登場したAX-7

AX-Edge

そして更なる進化を遂げて登場したのが最新モデルである「AX-Edge」。ちなみに、ローランドでは「Keytar(キーター)」というカテゴリでラインアップされますが、欧米ではショルダー・キーボードのことをこう呼ぶようです。ちなみに“ショルキー”という名称はヤマハの登録商標だったりします。

AXIS-1から継承されているRolandショルダー・キーボードの特長として、49鍵フルサイズ鍵盤を採用している点が挙げられます。ベロシティーやアフタータッチに対応していたり、写真のように「両手でも弾ける」のも大きな魅力です。

49鍵あるので、リードだけでなく両手を使ってキーボード・パートを演奏することもできます

また、発売時にも大きな話題になりましたが、ホワイト・モデルとブラック・モデルの2色がラインアップ。ブラック・モデルに至っては、鍵盤がすべてブラックというエッジの効いた仕様になっています。

ブラック・モデル。レッドとシルバーのエッジ・ブレードを付属

ホワイト・モデル。シルバーとゴールドのエッジ・ブレードを付属

 

今回はブラック・モデルをテストしましたが、触ってみる前は 何となく弾きにくいのかな? と疑っていたのですが、実際に弾いてみると意外にも(?)普通に弾けました。鍵盤自体は同社のJUNOシリーズのようなしっかりとしたタッチと演奏感で、速いフレーズにもしっかり付いてきてくれます。

なお、本体のエッジ(ホワイト・モデルではシルバー、ブラック・モデルではレッド)部分は「エッジ・ブレード」と呼ばれ、取り替えが可能になっているのも特長です。製品にはスペアとしてもう1枚が付属(ホワイト・モデルにはゴールド、ブラック・モデルにはシルバーのブレード)するため、「着せ替え」たりオリジナルのペイントを施すのもオススメ。自分好みのモデファイが簡単に行えます。

本体は49鍵フルサイズということもあり、サイズは少し大きめの印象です。しかし重量自体は4.3kgとエレキ・ギター程度ですし、重量バランスも良いので肩から下げたときにヘッド落ちが生じるといったこともなく、演奏しやすいポジションでしっかりと構えることができます。

ローランドらしい、ヌケの良いサウンド

サウンド部分は、ステージ向けに生み出された「Synth-EX音源」という新エンジンが使われており、4パート+ボコーダーの計4パートを鳴らすことができます。

パッチは、ちょうどJUNOシリーズのように音色カテゴリーごとに専用ボタンが搭載されており、ジャンルを選んだら+/-キーで音色バリエーションを切り替えていく方式です。音色切り替えはネック・コントローラー部分でも行えるので、演奏しながら音色を切り替えることもできます。

また、よく使う音色を使う順番に登録しておけるフェイバリット機能ももちろん搭載。基本的な操作は、これまでのRolandシンセサイザーとほとんど同じなので、Rolandユーザーであればすぐに使いこなす事が出来るでしょう。

肝心の音色ですが、エッジの効いたRolandらしいヌケの良いサウンド。特に「EDGE LEAD」カテゴリーの音色はラウドなギターが鳴っているようなロックバンドの中でも埋もれることなく、しっかりと主張してくれると思います。ショルダー・キーボードで使うかは別として、KEYSカテゴリーにはピアノやエレピ音色も収録されていますし、シンセ系もいわゆる「定番音色」が網羅されているので、AX-Edgeだけで1ステージをプレイする…なんてことも可能でしょう。

またボコーダー機能まで搭載されているので、幅広いパフォーマンスに活用できます。

2つのディスプレイを搭載。バンク&プログラム・ナンバーですばやくサウンドを確認することができます

考え抜かれたコントローラー・セクション

コントローラーはネック部分に集中しており、音色切り替えを含む基本的なコントロールはネックから手を離さずに行うことができます

まず目立つのは一般的なシンセのピッチベンド/モジュレーション・ホイール代わりとして使える、リボン・コントローラーとモジュレーション・バー。リボン・コントローラーは左右に動かしてのピッチ・コントロールだけでなく、押し込む強さで別の情報を与えることもできます。モジュレーション・バーも、押し込む強さでコントロールが効きます。

先端部分にはボリュームつまみに加えて、音色ごとに異なる情報を割り当て可能なアサイナブル・コントローラーも搭載。例えばフィルターのカットオフやアタックをアサインしておき、演奏しながら音色に変化を与えて行くことができます。

さらにネックの背面部分には、ポルタメントやホールド(サスティン)、分厚いサウンドを簡単に生み出せるユニゾンの3つのボタンも用意。ボタンによって、スイッチの挙動をラッチとモーメンタリーで使い分けることもできます。

Bluetoothに対応。制作用キーボードとしても活用できる!

入出力は背面にまとめられており、オーディオ出力やMIDI入出力を搭載。残念ながらワイヤレスは非搭載です。またMIDI情報はBluetoothで飛ばすこともでき、Bluetoothで専用のエディター・アプリ「AX-Edge Editor(無料)」と連携すれば音色やEQ、エフェクト設定など細かいエディットがリモートで行えます。

またUSB端子はUSBメモリー等を接続してオケを直接ストリーミングさせたり、パソコンと接続してMIDIキーボード/コントローラーとして活用することができます。

Edgeという名の通り、少し尖った製品ではありますが、ステージで目立ちたいキーボーディストは必見です!


■販売価格:10万8,000円前後

■お問い合わせ先:ローランド
メーカーの製品紹介ページ

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