SYNERGY AMPS / SYN1 レビュー
- 2018/9/3
- 製品レビュー
- SYNERGY AMPS
曲に合わせて好みのサウンドを追求するというのは、ギターを弾く上での大きな楽しみの1つです。中でもどのようなギター・アンプを使うかによって、出来上がるサウンドはまったく別モノになってしまいますから、好みの音を追求するなら、アンプのチョイスは非常に重要になってきます。しかし、大きなヘッド・アンプを個人で所有するのは、経済的にも持ち運びの面でも大変。しかも違うアンプの音が欲しくなったときには買い換えないといけない…。そんな悩みを解決してくれるのがSYNERGY AMPSの「SYN1」というチューブ・プリアンプです。
SYN1はチューブ・プリアンプとして販売されている製品なのですが、1番の特徴がアンプの心臓部を「モジュール」として自由に差し替えられる点です。SYN1自体はあくまで電源や入出力端子を搭載した箱で、ここに自分の使いたいアンプのモジュールをセットすることで、アンプの“着せ替え“ができるのです。モジュールは、写真のように本体の基板に押し込むだけで簡単に取り付け可能。SYN1の電源が入った状態で抜き差しができるので、エフェクターを差し替えるような感覚で使うことができます。
11種類のモジュール
モジュールは11種類(各5万8,000円)が発売されているのですが、SoldanoやFriedman、Diezel、Fender、Marshallなど誰もが知る名アンプが揃っています。色々なアンプ・サウンドを使い分けられる。こう聞くと、アンプ・シミュレーター(マルチ・エフェクター)のようなデジタル・エフェクターを思い浮かべる方も多いと思います。こういったシミュレーターは練習からライブまで使えて便利ですが、どうしても“似せて作られた音“のため、本物のアンプを鳴らしたときのサウンドや弾き心地とは、少し違ってしまいます。
しかし、SYNAGY AMPは真空管を使った本物のアナログ・アンプ! しかもモジュールを作っているのは、世界的に有名なアンプ・ブランドなのです。今回は、ロックの象徴として君臨するMarshall / Plexiを再現する「SYNERGY PLEXI」と、音にこだわるギタリストから絶大な支持を集めるFriedman / BE-100をモジュール化した「FRIEDMAN HBE module」をテストしてみました。
本物のアンプ・サウンド
SYN1の接続はいくつかの方法がありますが、1番シンプルなのがギター・アンプのエフェクト・リターン端子に接続して、シンプルなプリアンプとして使う方法。また、アンプがシリーズ・ループを備えている場合はセンド/リターンとインプットを計3本のシールドで接続することで、SYN1の性能をフル活用できます。
まずSYNERGY PLEXI PLEXIを試しましたが、アンプから出てきたのはギュッとしまった低域と、ヌケが良さを兼ね備えた、まさにPLEXIのサウンド。各チャンネルにはIとIIというコントロールがあり、実機の入力をジャンプさせたときのサウンドを再現することができます。セッティングによってはかなりのハイ・ゲインまでカバーしてくれ、これぞロック・ギター! という王道サウンドが楽しめます。
FRIEDMAN HBE moduleも同じMarshall系ですが、さらにハイゲインでモダンなサウンド。深く歪ませても思うようにニュアンスが出せ、かつ1音1音がクリアで分離の良いサウンドは、とにかく弾いていて気持ちが良いです。音を出した瞬間にガツンとくる感覚は、やはりデジタルでは再現できない心地良さといえるでしょう。
また、レコーディングで使うことを考えるとキャビネット・シミュレーターの組み合わせもオススメ。今回はプラグインのシミュレーター(IR)を使ってみましたが、やはりソフトのシミュレーターとは一線を画す演奏感。出音というより、ピックが弦に触れたときの「ゴリッ」という生々しい感覚が、“その気“にさせてくれます。
デジタルのシミュレーターも良いですが、やはり「真空管」にこだわりたいギタリストの皆様、ぜひ1度お試し下さい。