ZOOM / LIVETRAK L-20R レビュー

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普段のバンド活動はもちろん、ちょっとしたライブなど、自分たちで機材を調達しなければならないシーンで、最も大変なのはPAでしょう。特に「モニター」をどうするかは演奏のしやすさに直結する非常に大切な要素ですが、本格的な機材は高価で、操作や使い方も複雑…。そんな常識を覆してくれるミキサー/レコーダー「LiveTrak L-20R」がZOOMから登場! ライブ・シーンだけでなくレコーディングなど普段の音楽制作にも活用できる、ミュージシャン必見のアイテム。早速チェックしていきましょう!


ライブ仕様の20chミキサー

ZOOMのLiveTrak L-20R(以下、L-20R)はミュージシャンがライブを行うのに便利な機能をコンパクトな本体にまとめた、ライブ・ミキサーです。ZOOMのライブ・ミキサー「Lシリーズ」といえば、過去にL-12やL-20といったモデルで大きな話題を集めてきましたが、本モデルはL-20からフェーダーやツマミを省略し、その分コンパクトさを追求した「R(ラック)」モデルです

ミキサーとしての基本性能から見ていきましょう。入力端子はリアパネルにまとめられており、16チャンネルのモノラル・マイク/ライン入力と、2組のステレオ入力の合計20チャンネルの同時入力に対応しています。ドラムのキックやスネアに個別にマイクを立てる場合、どうしてもチャンネル数が多くなってしまうので、このくらいあると安心でしょう。

また、各チャンネルには聴きやすいサウンドを作るのに欠かせない3バンドのEQやローカット、つまみで簡単に音作りができる1ノブ・スタイルのコンプレッサーも搭載。さらに、リバーブやディレイといったお馴染みのセンド・エフェクトも2系統、合計20タイプが収録されているなど、本格的な仕様です。

本体重量は、なんとわずか2.49kg。持ち手も付いているので、セッティングも楽に行うことができます

本体を裏返しても、ノブやスイッチが床に当たることがない親切な設計になっています


6系統のモニター・ミックスが可能

そして、L-20Rの最大の特長であり、ライブ・ミキサーと名付けられている理由にもなっているのが6系統のモニター・アウト機能です。

この機能を使うことで、最大6人までがまったく違うバランスで音を聴くことができます。ライブハウスなどでは転がし(モニター・スピーカー)を使うことで、各プレイヤーが個別に音を聴くことができますが、これは音楽として聴きやすい音量バランスと、演奏者が演奏しやすい音量バランスがまったく別だからです。

メインのPA…つまり、ライブを見に来てくれたお客さんには、音楽的にバランスが取れた最高の音を聴いてもらいつつ、ステージ上のミュージシャンは演奏しやすいように自分の音を大きめに鳴らす、といった工夫をしているわけです。

このような環境を作るためには、ミキサーの「AUX」という機能を使うのですが、L-20Rと同価格帯のミキサーで6系統ものAUXを持つ製品は極めて稀です。しかも、モニター・スピーカーを接続して使うのが基本です。その点、L-20Rの場合はスピーカーだけでなくヘッドフォンを使うこともできて、何よりモニター専用に作られているので、操作が簡単でわかりやすい!仕組みさえわかってしまえば、誰でも本格的なモニター・ミックスを作ることができます。

この機能はレコーディング・シーンにおいても超重要。専用のキュー・ミキサーという製品も存在していますが、高価なモデルが中心で気軽に手の出せるものではありません。下手したらこの機能のためにL-20Rを手に入れるのもアリ…ではないでしょうか。

なおミキサーの設定…チャンネル・フェーダーやエフェクト、モニターの設定は「シーン」として保存しておくことも可能です。

6系統のモニターは、各プレイヤーごとの個別バランス/マスターのどちらを聴くかをスイッチで切り替え可能。なお、オペレーターは、モニター・ソース切り替えにより、各プレイヤーの聴いている音をチェックすることもできます。


操作はiPadからのリモートで

ここで、少し話を戻しましょう。L-20Rは20チャンネルのミキサーですが、多くの方がイメージする”ミキサー”と少し違った見た目になっています。具体的には、L-20Rはノブの数が少なく、音量を調整するためのフェーダー類も一切ありません。その代わりに液晶ディスプレイが付いています。

どうしてかと言うと、L-20R本体で操作するのは各チャンネルの入力ゲインなど、最低限のものだけ。音量調整をはじめ、EQやSENDエフェクトを使った音作りやモニター・ミックスの作成はすべてiPad上の専用コントロール・アプリから操作するという方式です。L-20RとiPadはBluetooth接続のため、ワイヤレスでの操作が可能です。

これが便利なのは、操作する場所を選ばないという点です。当たり前ですが、通常のミキサーの場合はミキサーを置いた場所でしか操作や音作りができませんが、iPadでリモート操作ができるL-20Rの場合はステージ上や客席など、好きな場所に移動しながら操作することができるのです。L-20Rはステージ上にセットしておき、音作りは観客席側から。モニターの調整はステージ上のメンバーにiPadを回して自分で調整してもらう…なんて使い方も自由自在。「PAはミキサーの前で行う」という常識に囚われる必要はありません。

本体のノブはGAINとCOMP、モニターのボリュームのみ。それ以外はiPadからコントロールします

iPadとはワイヤレスで接続。専用のアプリを入れて起動するだけで難しい設定なく、通信距離約10メートルの範囲で、L-20Rをリモート操作することができます


レコーダ−機能も搭載

L-20Rには、レコーダー機能が搭載されているのも見逃せないポイントです。本体にSDカードをセットすれば、接続した各楽器の音をボタン1つで録音可能。ライブ演奏をクリアな音質で残すことができ、ライブに限らず普段の演奏を記録したり、オリジナル音源の作成に生かすことも可能です。


音楽制作にもオススメ!

ここまで、ライブミキサーとしての正統な(?)視点からL-20Rを見てきましたが、レコーディングなど音楽制作にもフル活用できる点は見逃せません。スタンドアローンの20Trレコーダーとして動作する…というだけでも十分魅力ですが、何とUSB接続時には22イン4アウトのオーディオ・インターフェイス(24bit/48kHz)として動作します。しかも凄いことに、USBオーディオ・インターフェイスとSDカード・レコーダーは同時に動作可能。つまり、DAWでのレコーディングのバックアップとしてSDカード・レコーダーを(もちろん逆も可)使うことができるのです。

なおApple Lightning – USBカメラ・アダプタを経由すればiOSデバイスにも対応していますので、色々な用途で活用できるでしょう。

SDカード・レコーダーやオーディオ・インターフェイス機能も搭載。音楽制作用とにもピッタリな機能を備えています。


■販売価格:6万5,000円(税別)

■お問い合わせ先:ZOOM
メーカーの製品紹介ページ


 

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