• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

近年、オーディオ・インターフェイスのカテゴリーでも存在感を強めている、ズーム。次世代のインターフェイスで高音質/高パフォーマンスを追求したTAC/UACシリーズや「ハンディー・オーディオ・インターフェイス」という新しいコンセプトのUシリーズなど、どのモデルにもズームらしさが感じられます。今回は新たに登場した、シリーズ最小モデルとなる「U-22」を見ていきましょう。

モバイル環境にピッタリ

ズームのUシリーズは「ハンディー・オーディオ・インターフェイス」というコンセプトの通り、どこにでも気軽に持ち運べて、モバイル環境やライブ・パフォーマンス用途に最適な機動性と機能を特徴としているシリーズです。そんなUシリーズに新たに加わった「U-22」は手の平に収まり、300gを切る軽量なボディーに2イン2アウトの入出力を搭載。まさに「ハンディー」というコンセプトを追求したかのようなモデルと言えます。

まず入力端子から見ていきましょう。入力はXLR/TSコンボ・ジャックとステレオ・ミニのLINE INの2系統。XLR/TSコンボ・ジャックには同社のハンディー・レコーダー「Hシリーズ」などと同等の低ノイズのマイク・プリアンプを搭載しているほか、側面のスイッチでファンタム電源を供給することもできます。また、TSジャックはHi-Zに対応しているので、エレキ・ギターやベースを接続可能。というよりも、アンバランス仕様で1系統しかないことを考えると、実質的にギターやベース用と考えても良いでしょう。なお、LINE IN端子を使用する場合はXLR/TS入力を利用することはできません。このあたりが上位モデルとの大きな違いになっています。

出力はRCAピン・ジャックのメインアウトとステレオ・ミニのヘッドフォン端子を備えています。

▲入力ゲインと出力端子には専用のつまみを搭載。ボリューム操作も効率良く行えます

▲フロント面には抜き差しすることが多い、XLR/TSコンボ・ジャックやLINE IN、ヘッドフォン出力が配置されています

▲背面にはRCA出力とUSB端子、そして、アダプター接続用のMicro-B端子を搭載。モバイル・バッテリーで動作させることもできます

▲側面には電源の切り替え(USBバスパワー/バッテリー)やファンタム電源、ダイレクト・モニター機能のON/OFFスイッチが配置されています

クセがなく、スッキリとしたサウンド

実際にサウンドを聴いてみると、入出力共に非常にクリアで、クセがなく好印象です。マイク・プリアンプもガサつくことはなく、音の芯をしっかりと捉えてくれる印象で、とても入門価格帯の製品とは思えません。

そのサウンド・クオリティーを支えているのが、これまでズームが培ってきた技術力です。マイク・プリアンプは先述の通り、-120dBu(EIN)という優れた入力換算ノイズを実現する、Hシリーズ譲りの低ノイズ設計。また、パソコン内部のクロックではなく、独自のクロックで動作させるアシンクロナス転送システムを採用しているので、ジッター…つまり、クロックの揺れによる音色の変化を抑え、原音そのままのピュアなサウンドを出力することができるのです。

使い勝手の面も好印象と言えます。ケーブルを抜き差しすることが多い入力端子やヘッドフォン端子はフロント面にまとめられているほか、トップ・パネルの入力ゲインや出力ボリュームには大型の専用つまみを搭載。これらのつまみには適度な重みがあるので、目的の位置でピタリと止まってくれます。なお、シグナル/クリップ・インジケーターがしっかりと搭載されているのも特徴の1つです。

iOSデバイスで使う

最近のオーディオ・インターフェイスではお馴染みになりつつありますが、別売のLightning-USBコネクターを使うことで、iOSデバイスにもしっかりと対応することができます。U-22はパソコンで使用する場合はUSBバスパワーで駆動しますが、iOSデバイスで使用する場合は別売のACアダプターか、単3乾電池から電源を供給する必要があります。なお、乾電池でも約5時間以上の使用が可能なので、そう困ることはないでしょう。


ここからは少し視点を変えて、Uシリーズの3モデルの違いや使い分け、選び方について考えてみましょう。

高音質を気軽に楽しむならU-22

U-22の一番のアドバンテージは何と言っても、コンパクトな点にあります。手の平にすっぽりと収まるほどにコンパクトで軽量なので、持ち歩くのに最適です。ウルトラ・ブックやiOSデバイスと組み合わせて使えば、いつでもどこでも音楽制作やパフォーマンスを行うことができます。モバイル環境では多入出力が必要になるケースは稀であり、「マイクやギターが1本録れれば十分」という場合がほとんどだと思いますので、その点でもU-22は必要十分と言えます。

機能がシンプルで、迷うことなく使用できるので、DAWで音楽制作を始めてみたいギタリストやシンガー・ソング・ライターの方にもオススメです。パソコンと接続するだけで使用可能なので(Windowsの場合は専用ドライバーをインストールする必要があります)、「音が出ない…」といったDAWで起こりがちなトラブルに悩まされることもないでしょう。

サウンド・クオリティーの面でも兄弟モデルと同等なので、「ラップトップやモバイルで気軽に使いたい!」というシーンにはU-22が最適です。

▲iOSデバイスと組み合わせれば、どこでも本格的なサウンドで音楽制作が楽しめます

本格的なライブを目指すならU-24

ミドル・クラスのモデルであるU-24ですが、ここから一気に高機能化します。まず入出力は2イン4アウトに拡張。入力はXLR/TRSコンボ・ジャックが2つとマイク・プリアンプが2系統に拡張され、同時にライン入力もバランス接続が可能になっています。また、大きな特徴として挙げられるのが、出力端子の拡張です。U-24にはTRSフォーンとRCAの2系統が用意されており、これによってライブ・シーンでの使い勝手が飛躍的に向上しています

例えば、「同期音源」を使うライブ・パフォーマンスではオケとクリックを別系統で出力することができるほか、DJの場合はメインの信号とキューを別々にモニターすることができます。自宅で使う場合はスピーカーをつなぐ1系統でも十分かもしれませんが、ライブ用途では出力端子が2系統あることが大きなメリットにつながります。特にU-24とU-44では、2系統の出力を自由にミックスしてヘッドフォンで聴くことができるので、「自分が聴く音だけ、オケにクリックを混ぜる…」といった高度なモニター環境を簡単に作り上げることが可能です。

ダイレクト・モニターにも大きな違いがあります。U-22ではONかOFFをスイッチで切り替えるだけでしたが、U-24では入力音とDAWからの返し音の音量バランスをミックスさせる、といった設定も行えます。その他にも、メイン出力とヘッドフォンのボリュームを独立してコントロールできたり、MIDIの入出力端子を搭載しているなど、「より快適で、汎用性の高い音楽制作システムが欲しい」というニーズにも応えてくれます。

▲メインのオケとクリックやキューなどのメイン・スピーカーから出したくない音のバランスを調整。ヘッドフォンで確認することができます

機動力と機能性を兼ね備えたU-44

U-24のすべての機能にさらなる入出力を加え、より多用途に対応しているのが、U-44です。入力が4チャンネルに拡張されているほか、本体底面に「Hシリーズ」用の別売のマイク・カプセルをそのまま装着することが可能です。交換用のマイク・カプセルにはXYマイク、MSマイク、ショットガン・マイク、外部マイク/ライン拡張ユニットという計6種類がラインアップされており、シチュエーションに応じて最適なサウンドに「着せ替え」ができるのが最大の特徴と言えます。別途でマイクを用意する必要がないので、U-44とiOSだけでフィールド・レコーディングが行えるという、U-44ならではのユニークな録音環境を手に入れることができます。

U-44はCOAXIALとOPTICALのデジタル入出力端子も搭載。3-4chではデジタル機器を扱うことができるのもU-44だけの機能です。デジタル接続が可能な楽器やオーディオ機器をつなぐのはもちろん、スタンドアロン動作のAD/DAコンバーターとしても利用可能。高音質なマイク・プリアンプとして使用することができます。

▲U-44はズーム独自のマイク・カプセル交換システムに対応。シーンに応じて最適なマイクを使い分けることができます


■主な仕様

●インターフェイス:USB2.0●最大同時入出力数:2イン2アウト●サンプリング周波数:96kHz、88.2kHz、48kHz、44.1kHz●ビット長:24bit●MIC/HI-Z入力端子:XLR/TSコンボ・ジャック●入力ゲイン:0〜43dB●LINE入力端子:ステレオ・ミニジャック●出力端子:RCAピン(コアキシャル)●PHONES:ステレオ・ミニジャック●電源:USBバスパワー(Type B)、ZOOM AD-17(Micro-B)、DC5V電源(Micro-B)、単3乾電池2本(連続駆動時間、約5時間)●外形寸法(D x W x H):119.2 x 91.8 x 44.6mm●重量:285g

■販売価格

オープン(実勢価格:1万円前後/税込)

■お問い合わせ先

ズーム
メーカーの製品紹介ページ

関連記事

ページ上部へ戻る