エレクトリック楽器より気軽に演奏できる反面、ライブ・シーンになると一気に取扱いが難しくなるのがアコースティック・ギター。特にバンド構成ならばマイクを立てるわけにもいかないし、かといってピエゾの音も満足できない。そんな人にピッタリなアコースティック・プリアンプがZOOMのAC-2です。ライブ・シーンはもちろん、レコーディング・シーンで使っても効果的な1台。アコギを弾く人必見のプリアンプです。

ライブでも音に妥協しない

アンプにつないで使うことが前提のエレクトリック・ギター/ベースと違い、アンプラグドで使うことが前提に作られているアコースティック・ギター。すると問題になるのが、ライブ・シーンでの扱いです。アンプでいくらでも大きな音が出せるエレクトリック楽器と違い、アコースティック・ギターは出せる音量には限りがあります。どんなに強く弾いたとしても、ドラムやギターの爆音の中に入れば一瞬で埋もれてしまいます。

音を拾う一番簡単な方法はマイクを立てて音を拾うことです。弾き語りであれば問題ありませんが、バンドで使う場合はハウリングが起こる可能性が高くなります。また、マイクは固定するので演奏する位置も限られてしまうといった点を考えると、バンドでマイクを使って収音するのは現実的ではありません。

そこで、多くの方が使っているであろう方法がアコースティック・ギターにピックアップを付けてアンプで増幅するエレクトリック・アコースティック・ギター…通称エレアコです。エレアコを使えばバンドの中でもしっかりと聴こえる音量を出すことができますが、ピックアップで拾ってしまうとアコースティック・ギターの最大の魅力である、木材本来の温かみのある有機的なサウンドは一気に失われてしまいます。エレアコのサウンドは、本来の豊かな「鳴り」とは似ても似つかないサウンドといっても良いでしょう。しかし、音が聴こえないよりかはマシ…とサウンドには目をつぶってエレアコを使っている。そんなギタリストがほとんどではないでしょうか。

それを回避してくれるのが、アコースティック・プリアンプと呼ばれる機材です。アコギ本来のサウンドを保ったまま、いかに増幅できるかに主眼を置いたプリアンプです。各社から様々なモデルが販売されていますが、音が良いとされているモデルは高価だったりと、なかなかコレ! という決定版がなかったように思います。

ZOOMはこれまで何モデルもアコースティック・プリアンプを手がけてきており、いずれも高い評価を得ていましたが、その最新モデルとして登場したのがAC-2です。アコースティック・ギターを彷彿とさせるユニークなデザインのボディーには、アコギにぴったりな機能が凝縮されています。

アコースティック・リモデリング

アコースティック・ギター専用にチューニングされた増幅回路やEQを搭載するのがアコースティック・プリアンプの基本ですが、AC-2はそれだけではありません。それが「アコースティック・リモデリング」という機能です。そもそも、ピックアップで拾った音がどうしてペケペケの音になってしまうかといえば、ピエゾの場合は振動を電気信号に、マグネティックの場合は弦の振動を電気信号に変換しますが、ここにアコギで重要な「鳴り」を拾う仕組みがないため、アコギ本来の音とは別モノのサウンドになってしまうのです。

アコースティック・リモデリングとは、その「鳴り」を作り上げることができる機能です。AC-2には16種類のプリセットが用意されており、ここで自分が使っているギターのタイプを選ぶことで、ラインの音にその楽器らしい鳴りを加えてくれるというもの。いわゆるアコースティック・シミュレーターのように、他のギターのサウンドを似せるというのとは少し違うのがポイントです。

プリセットはラウンドショルダー、ドレッド・ノート、トリプル 0、シングル・カッタウェイといった定番からレゾネーター、ナイロン・ギター、12弦ギター。さらにはアップライド・ベースまでかなり豊富です。実際に使ってみると、効果は歴然! ピエゾの味気ないサウンドが、ただ通すだけでマイクで拾ったかのようなアコギ・サウンドになるのは驚きです。プリアンプだけでは絶対にこうはなりません。特に低域の鳴り方が生々しく、知らずに聴いたら、とてもラインの音とはわからないレベルではないでしょうか。特にEQで加工しなくても、自然で気持ち良いサウンドで演奏。そして観客に届けることができます。

▲16タイプのソース・ギター・プリセットを収録。使用しているギターのタイプを選ぶだけで、ラインで失われてしまった「鳴り」が復活します

クリアで低ノイズのプリアンプ

アコースティック・リモデリングのサウンドを引き出しているのが、プリアンプ・セクション。シンプルながら非常に高性能なプリアンプで、ノイズレスで非常にクリアなサウンドを聴かせてくれるのですが、ここにはいくつかの秘密が隠されています。

まず最初に、使用するギターのピックアップ・タイプに合わせてサウンドを最適化できるピックアップ・セレクト機能。ピエゾ、マグネティック、OFFの3パターンから選択できます。またパネルを見ただけではわかりにくいのですが、VOLUMEノブは入力ゲインと出力レベルを同時にコントロールするというインテリジェンスなレベル・コントロール機能が搭載されており、レベル設定をスマートに行えます。ちなみに、パッシブ・ピックアップの場合は3時、アクティブ・ピックアップの場合は12時の位置を基準に設定するのが良いようです。

BASS、MIDDLE、TREBLEの3バンドEQも非常に効きがよいので、補正用途はもちろん積極的なサウンド・メイクに活用するのも良いでしょう。

リバーブも非常にリッチなので、弾いていて浸れます。ステージ上ではあまり使うことがないかもしれませんが、自宅でレコーディングしたりヘッドフォンで演奏する時に便利でしょう。

もちろんD.I.機能も搭載。D.I.によってサウンドは激変してしまうので、ステージ常設のものを使うよりも、自分で持ち込んでしまった方が安定して自分のサウンドを鳴らすことができます。

▲普段の練習からステージ、レコーディングまで幅広い用途で活用できるアコースティック・ギター用プリアンプです

ライブで便利な実践的な機能

ライブ・ステージでもアコースティック・ギター本来のサウンドが得られる。これがAC-2のコンセプトであり、真骨頂と言えます。ステージで使うことをしっかりと考えられています。

まずは、ステージでアコギを使う時に何より恐ろしいフィードバック対策について、AC-2にはアンチ・フィードバック機能が搭載されています。これはフィードバックを起こしている周波数帯域を検出してカットするという仕組みなのですが、使い方はANTI F.B.スイッチを押すだけ。後は勝手に周波数をスキャンして適切な処理を行ってくれます。リハ中にハウリングが発生! なんて場合でも面倒なことを考える必要なく、瞬時に処理できるようになっています。

▲ボタン1つでフィードバックを解決してくれる、アンチ・フィードバック機能を搭載

また、ミュート・スイッチを兼ねたチューナーはクロマチックで最も近い音程とピッチのズレをLEDで知らせてくれるので、かなり使いやすいです。

曲によっては、カッティングとアルペジオのようにレベルに差のあるフレーズを演奏するケースも多いと思いますが、そんな時に便利なのがブースト機能です。BOOSTスイッチを踏むだけで最大9dBのクリーン・ブーストが可能です。ブースト量も調整できるので、曲中のソロでONにする…というのももちろんOKです。

▲奏法による音量差やソロ時の音量UPに便利なクリーン・ブースターを搭載

そして、これらの機能はすべて専用ボタンやスイッチで感覚的に操作できる操作感も見逃せません。これは操作が簡単というだけでなく、ステージ上で瞬時に音作りができるということにもつながります。

最後に、豊富な出力についても触れておきます。ステレオにも対応し、ヘッドフォン出力も可能なメイン出力と、別系等でXLRバランスを搭載。XLRアウトからは、プリアンプを通した音、通してない音のどちらを出力するかをスイッチで選択できるので、シーンに応じてPAやレコーダーに送る信号を変えられるのも便利です。

▲バランス出力から出力される信号は、PRE/POSTを切り替え可能

より本格的な機能と操作感を向上させた上位モデル、AC-3も登場!

AC-2にさらに機能を追加した上位モデル「AC-3」の発売もアナウンスされています。つまみ1つで操作できるコンプレッサーやディレイ、リバーブなど9種類のアコースティック楽器用エフェクトなどエフェクト部分の強化に加え、ステレオ出力が可能な2系統のXLRバランス・アウトも搭載。アナログ感覚のシンプルな操作は、ライブでバリバリ活用したいヘヴィ・ユーザーにピッタリです。


■主な仕様

●ソース・ギター:16タイプ ●サンプリング周波数:44.1kHz ●A/D、D/A変換:24bit 128倍オーバー・サンプリング ●信号処理:32bit ●入力端子:標準フォーン・ジャック●出力端子:1/MONO/PHONES(ライン/ヘッドフォン兼用。標準ステレオ・フォーン)、2(標準フォーン)、BALANCED OUT(XLR)●電源:ACアダプタ(DC9Vセンター・マイナス、500mA)、単3乾電池2本 ●USB:USB MIDI USB MIcro-B●外形寸法:158mm(D)x107mm(W)x52mm (H)●重量:570g(電池を除く)

■販売価格

2万2,000 円(税抜)

■お問い合わせ先

ZOOM
メーカーの製品紹介ページ