部屋に合わせてスピーカーをチューニング。自宅のモニター環境を劇的に改善させるモニタリング・ソリューション

自宅でもスタジオ・レベルのモニター

音楽を作る上で、最も重要なのがモニター環境です。商用スタジオであれば、専門の知識を持った音響エンジニアが膨大な予算を使って理想的な音場を作り上げますが、一般の家庭では妥協せざるをえないのも現実です。設置する場所に気を付けたり、吸音材を置いてはいても「ちゃんとルーム・チューニングしているよ」というケースは希でしょう。

本格的なルーム・チューニングはできないけれど、やっぱり信頼できるモニター環境が欲しい! というニーズに応えてくれるのが、モニター・スピーカーの定番、GENELECの8320A。SAMシステムと呼ばれる測定/補正システムを使うことで、自宅でスタジオ・レベルのモニター環境を構築することができるというモニタリング・ソリューションです。

8320AはSAMシステムのラインアップでは最小のモデルで、105mm…つまり4インチのウーファーと19mmのツイーターを、それぞれ50Wのアンプで駆動させます。同社の定番、8000シリーズでは8020 DPMと同サイズのモデルで、防音処理のされていない環境でも十分鳴らせる音量と圧迫感のないサイズ感。自宅ニーズにジャストなモデルです。

サウンドに定評のあるGENELECですし、スピーカー・スタンドやデスク上にポンと置いただけで、一定クオリティー以上で鳴ってくれるのですが、ここにSAMシステムが組み合わさることで、その性能と魅力が何倍にも膨れあがります。

部屋に合わせてスピーカーをチューニング

SAMシステムというのは、スピーカーの出力を測定用マイクで広い、GLMソフトウェアという専用ソフトで解析、補正を行うというシステムです。ここだけ見ると、スピーカー補正プラグインと同じに見えますが、SAMシステムが決定的に異なるのが、パソコンからの出力音に補正をするのではなく、スピーカー自体の特性を部屋に合わせてチューニングできるという点です。スピーカーから出る音がDAWに限らず、すべて補正されるというのはもちろん、あくまでスピーカーの特性を活かした状態で理想的なサウンドを得られるというのが魅力です。

一般的な住宅では、ローミッドが不自然に持ち上がったり、左右の壁との距離や機材や家具のレイアウトによって定位や位相がずれるといった問題がおこりがち。実際にSAMシステムで補正された音を聴いてみると、そういった要素がしっかり解決されつつ、同時に他の補正プラグインなどに見られる、音をいじった感や、音が落ち着きすぎる感は皆無で、あたかも最初からこの音だったかのような自然なサウンドは驚き。この違いは、わかる人だけがわかるというレベルではなく、誰が聴いても明確に良くなったとわかるレベルです。

測定は簡単

ここで、SAMシステムの測定/補正手順についても触れておきます。測定時は、スピーカー間と専用のネットワーク・インターフェイスをLANケーブルで、測定用マイクのケーブルもインターフェイスに接続。パソコンとインターフェイスはUSBケーブルでつなぎます。後はパソコン上でGLMソフトウェアを起動し、画面の操作に従って設定していくだけです。

驚いたのは、とにかく測定が簡単ということ。一般的な測定システムでは、何ヶ所もマイクの位置を変えながら測定していきますが、SAMシステムでは測定場所はリスニング・ポイントだけ。左右1回の測定でOKなのです。複数人で作業する環境用にマルチ・ポイント測定も可能ですが、その場合もリスニング・ポジション1ヶ所に付き、測定は1回。位置に気を付けながらマイクを動かす必要がないので、測定に失敗する可能性はゼロ。本当にこれで大丈夫?と不安になってしまいましたが、補正結果を聴くと結果は前述の通り。何かしらのスピーカー補正システムを使ったことがある人ほど、SAMシステムの便利さと精度の高さに驚くと思います。また、ぜひ試してみたくなったのが、サブ・ウーファーを含めた2.1chのシステム。サブ・ウーファーのセッティングはかなり難易度が高いのですが、システム全体を総合的に最適化してくれるSAMシステムであれば、一発で理想的な環境を構築できることでしょう。

一度測定してしまえば、補正結果はスピーカー本体に保存されるので、後は通常のモニター・スピーカーとまったく同じように扱うことができます。GLMソフトウェアからは、キャリブレーション前/後の比較やスピーカーの音量調整、ミュートやディムといった、ちょっとしたモニター・コントロール機能が利用できるようになっています。

スピーカー自体に補正を行うことで、スピーカーから出るすべての音を補正できる。さらには引っ越ししたり部屋のレイアウトを変えたとしても、5分もあればいつもの音で作業できる。まさに宅録用のスピーカーの理想とも言うべき製品と言っても良いでしょう。


主な仕様

●最大音圧レベル:100 dB●周波数特性:55 Hz 〜 23 kHz(-6 dB)●周波数特性の精度:±1.5 dB(66 Hz 〜 20 kHz)●ドライバー口径 ウーファー:105 mm +ツイーター 19 mm、メタルドーム+ DCW●アンプ出力:低域 50W + 高域50 W●寸法:H 242 × W 151 × D 142 mm(Iso-Pod 付き)●重量:3.2 kg●コネクター:1 × XLR アナログ入力、2 × RJ45 制御ネットワーク

お問い合わせ先

オタリテック
http://www.otaritec.co.jp

https://digireco.com/images/192_genelec_cover.jpghttps://digireco.com/images/192_genelec_cover.jpg編集部動画コンテンツ特集記事製品レビューGENELEC,Vol.192,モニター・スピーカー,製品レビュー部屋に合わせてスピーカーをチューニング。自宅のモニター環境を劇的に改善させるモニタリング・ソリューション 自宅でもスタジオ・レベルのモニター 音楽を作る上で、最も重要なのがモニター環境です。商用スタジオであれば、専門の知識を持った音響エンジニアが膨大な予算を使って理想的な音場を作り上げますが、一般の家庭では妥協せざるをえないのも現実です。設置する場所に気を付けたり、吸音材を置いてはいても「ちゃんとルーム・チューニングしているよ」というケースは希でしょう。 本格的なルーム・チューニングはできないけれど、やっぱり信頼できるモニター環境が欲しい! というニーズに応えてくれるのが、モニター・スピーカーの定番、GENELECの8320A。SAMシステムと呼ばれる測定/補正システムを使うことで、自宅でスタジオ・レベルのモニター環境を構築することができるというモニタリング・ソリューションです。 8320AはSAMシステムのラインアップでは最小のモデルで、105mm…つまり4インチのウーファーと19mmのツイーターを、それぞれ50Wのアンプで駆動させます。同社の定番、8000シリーズでは8020 DPMと同サイズのモデルで、防音処理のされていない環境でも十分鳴らせる音量と圧迫感のないサイズ感。自宅ニーズにジャストなモデルです。 サウンドに定評のあるGENELECですし、スピーカー・スタンドやデスク上にポンと置いただけで、一定クオリティー以上で鳴ってくれるのですが、ここにSAMシステムが組み合わさることで、その性能と魅力が何倍にも膨れあがります。 部屋に合わせてスピーカーをチューニング SAMシステムというのは、スピーカーの出力を測定用マイクで広い、GLMソフトウェアという専用ソフトで解析、補正を行うというシステムです。ここだけ見ると、スピーカー補正プラグインと同じに見えますが、SAMシステムが決定的に異なるのが、パソコンからの出力音に補正をするのではなく、スピーカー自体の特性を部屋に合わせてチューニングできるという点です。スピーカーから出る音がDAWに限らず、すべて補正されるというのはもちろん、あくまでスピーカーの特性を活かした状態で理想的なサウンドを得られるというのが魅力です。 一般的な住宅では、ローミッドが不自然に持ち上がったり、左右の壁との距離や機材や家具のレイアウトによって定位や位相がずれるといった問題がおこりがち。実際にSAMシステムで補正された音を聴いてみると、そういった要素がしっかり解決されつつ、同時に他の補正プラグインなどに見られる、音をいじった感や、音が落ち着きすぎる感は皆無で、あたかも最初からこの音だったかのような自然なサウンドは驚き。この違いは、わかる人だけがわかるというレベルではなく、誰が聴いても明確に良くなったとわかるレベルです。 測定は簡単 ここで、SAMシステムの測定/補正手順についても触れておきます。測定時は、スピーカー間と専用のネットワーク・インターフェイスをLANケーブルで、測定用マイクのケーブルもインターフェイスに接続。パソコンとインターフェイスはUSBケーブルでつなぎます。後はパソコン上でGLMソフトウェアを起動し、画面の操作に従って設定していくだけです。 驚いたのは、とにかく測定が簡単ということ。一般的な測定システムでは、何ヶ所もマイクの位置を変えながら測定していきますが、SAMシステムでは測定場所はリスニング・ポイントだけ。左右1回の測定でOKなのです。複数人で作業する環境用にマルチ・ポイント測定も可能ですが、その場合もリスニング・ポジション1ヶ所に付き、測定は1回。位置に気を付けながらマイクを動かす必要がないので、測定に失敗する可能性はゼロ。本当にこれで大丈夫?と不安になってしまいましたが、補正結果を聴くと結果は前述の通り。何かしらのスピーカー補正システムを使ったことがある人ほど、SAMシステムの便利さと精度の高さに驚くと思います。また、ぜひ試してみたくなったのが、サブ・ウーファーを含めた2.1chのシステム。サブ・ウーファーのセッティングはかなり難易度が高いのですが、システム全体を総合的に最適化してくれるSAMシステムであれば、一発で理想的な環境を構築できることでしょう。 一度測定してしまえば、補正結果はスピーカー本体に保存されるので、後は通常のモニター・スピーカーとまったく同じように扱うことができます。GLMソフトウェアからは、キャリブレーション前/後の比較やスピーカーの音量調整、ミュートやディムといった、ちょっとしたモニター・コントロール機能が利用できるようになっています。 スピーカー自体に補正を行うことで、スピーカーから出るすべての音を補正できる。さらには引っ越ししたり部屋のレイアウトを変えたとしても、5分もあればいつもの音で作業できる。まさに宅録用のスピーカーの理想とも言うべき製品と言っても良いでしょう。 https://www.youtube.com/watch?v=Z9Nn0VBsrN8 主な仕様 ●最大音圧レベル:100 dB●周波数特性:55 Hz 〜 23 kHz(-6 dB)●周波数特性の精度:±1.5 dB(66 Hz 〜 20 kHz)●ドライバー口径 ウーファー:105 mm +ツイーター 19 mm、メタルドーム+ DCW●アンプ出力:低域 50W + 高域50 W●寸法:H 242 × W 151 × D 142 mm(Iso-Pod 付き)●重量:3.2 kg●コネクター:1 × XLR アナログ入力、2 × RJ45 制御ネットワーク お問い合わせ先 オタリテック http://www.otaritec.co.jpミュージシャンの物欲を掻き立てるフリー・マガジン