Dubreq / Stylophone GEN X-1
- 2017/12/13
- 製品レビュー
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ガジェットの域を超えた、本格ポータブル・シンセサイザー
元祖ガジェット楽器が復活
皆さんはStylophoneという楽器をご存知でしょうか? シンセサイザー・ファンにはお馴染みの楽器ですが、バンドマンにとっては馴染みが薄いかもしれませんね。Stylophoneは、1968年にイギリスのDubreq社が発売した小型の電子楽器で、金属でできたキーボードをスタイラス・ペンでなぞることで音を出す…という、ちょうどシンセ・アプリのような演奏感の楽器で「世界初のガジェット楽器」と言われることもあります。クラフトワークやデヴィット・ボウイといった著名アーティストが使用したことや、その独特の音色と演奏感で世界中でヒット。全世界で400万台以上を売り上げた伝説のシンセサイザーなんです。
前置きが長くなりましたが、そんなStylophoneが最新の機能を装備し「Stylophone GEN X-1(以下、Stylophone)」として復活。その見た目からは想像もできないような、本格的なサウンドを聴かせてくれるポータブル・シンセ。その魅力に迫ってみましょう。
ペンと指で演奏する
Stylophoneの演奏は簡単。本体にはスピーカーが内蔵されているので、電源をONにしたら、本体に取り付けられているスタイラス・ペンで本体下部の金属部分をなぞるだけで音を出せます。金属部分はピアノと同じ配列になっており、白鍵と黒鍵の鳴らし分けも可能。音階のある演奏もできますが、やはりキーボード上をなぞることで表現できるグリッサンドの演奏が特徴。一般的な鍵盤楽器とはひと味違った演奏が魅力です。
また、鍵盤の上部にあるリボン・コントローラーを直接指でスライドさせて音を出すこともできます。単純にリボン・コントローラーを使ったポルタメント的な演奏や、左右に揺すってビブラート的な効果を作ったりと、明確な音程のない表現もバッチリ。また、スタイラスとリボン・コントローラーを同時に演奏するとリボン・コントローラーの音が優先されるため、スタイラスで鳴らしたままリボン・コントローラーでベンドさせる…など組み合わせて使うのも面白いでしょう。また、底面に用意されたつまみで、全体のピッチを自由に設定することができます。ベースシンセからリードまで自在のプレイが可能です。演奏自体は非常にシンプルですが、シンプルゆえにハマれます。
純アナログ・サウンド
つまみを使えば、サウンドに様々な効果を与えることもできます。パラメーターを順に見ていきましょう。
左上にあるのがエンベロープ・セクション。エンベロープはピッチとフィルターに共通で、ATTACKで立ち上がりの、DECAYで立ち下がりの速さをコントロールします。その右にあるのがLFOセクション。ここでは、一定間隔でピッチを揺らすことができます。速さや深さだけでなく、波形も矩形波と三角波から選択することができます。その下はフィルター・セクション。カットオフとレゾナンスとシンプルですが、かかり方がエグイ! それもそのはずで、Stylophoneは純アナログ。レゾナンスを上げてカットオフのつまみをグリグリすれば、アナログ・シンセならではの効果を味わえます。
エフェクトとしてディレイも搭載。タイム、フィードバック、レベルのコントロールが可能で、シンプルなエコー・サウンドから、フィードバックを上げて発振させれば効果音的に使うこともできます。
また、本体の左側面には3つのスイッチを搭載。「X」スイッチは、PMW…つまり揺らぎを加えて分厚いサウンドを作ることが可能です。「-1」と「-2」のボタンは、それぞれ1オクターブ、2オクターブ下の音を加えることができます。
右側面にはヘッドフォン端子とAUX入力端子を装備。AUX端子は外部入力を内蔵スピーカーで鳴らすだけでなく、Stylophoneのフィルターやエンベロープをかけることもできるので、エフェクター的に使ってみても面白いでしょう。
このようにStylophoneにはアナログ・シンセサイザーの基本が凝縮されています。最近のシンセやプラグインのインストゥルメントは膨大なプリセットが収録されているのが当たり前ですが、シンセの基本的な部分を知っているだけで、より好みの音に近づけることができたりと、活用の幅が一気に広がります。Stylophoneなら、遊びながらシンセの基本を学ぶことができるでしょう。
シンセやガジェット楽器が好きな方はもちろん、バリバリのバンドマンにもぜひ手に入れていただきたい本格ガジェット・シンセサイザー。それがStrylophone GEN X-1です。解説/レビュー動画と併せてご覧ください。
■販売価格
1万円(税別)
■お問い合わせ先
アンブレラカンパニー
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