よりリアルな音色でプレイしたい。それは全ミュージシャン共通の願いでしょう。そんな理想にさらに1歩近づけてくれるイタリアの新進気鋭のブランド「DEXIBELL(デキシーベル)」が遂に日本上陸! それに伴い開催された、製品発表会の模様をレポートします。キーボーディストはもちろん、アコースティック系音色にこだわりのあるコンポーザー、クリエイターも必見です!
デジタル楽器を知り尽くしたスタッフが生み出した、DEXIBELL
DEXIBELLは、この秋に日本に初上陸する新しいブランドです。しかし、まったく新しいメーカーという訳ではなく、過去に25年以上に渡って有名楽器メーカーで手腕を発揮してきた熟練スタッフと職人達の手によって生み出される製品は、超一流メーカーとガチンコでやりあえるだけのポテンシャルを秘めています。
ブランドの「父」として全製品を手がけるLuigi Bruti氏は、ローランド・ヨーロッパの超重要人物として、Vアコーディオンを中心とする大ヒット・プロダクトを数多く手がけてきた電子楽器を知り尽くしたプロ中のプロ。DEXIBELLの製品は、先進のテクノロジーでサウンドだけでなく、演奏フィールまでを完全再現した、新時代のデジタル・インストゥルメントです。
なお、DEXIBELLのスタッフの言葉で印象的だったのが、「生の楽器に置き換わるものを作りたい訳ではない」という一言。何気ない言葉のようにも聞こえますが、本物の楽器に対するリスペクトが込められているからこそ。本物を演奏したときのフィーリングを電子楽器でも味わって欲しい。それがDEXIBELLの製品作りの根底にあるのです。
T2Lモデリングによる、圧巻の表現力
前置きが長くなりましたが、発表会ではイタリアより来日した、RALF SCHINK氏が製品のサウンドとポテンシャルについて実例を挙げながらデモンストレーションを行いました。
DEXIBELL製品を語る上で、欠かすことができないのが独自開発の「T2Lモデリング」エンジン。全製品がこの音源を搭載しており、各モデルの違いは鍵盤数やちょっとした機能のみというのも見逃せません。
このT2Lは、簡単に言えばサンプリング技術とモデリング技術を融合させたものですが、それぞれの作り込みが深い!
例えばサンプリング技術。当たり前に使われる技術ですが、T2Lでは24bit/48kHzのサンプルが使われています。市場の電子楽器では未だに16bitが主流ですので、表現できるダイナミック・レンジには雲泥の差がでてきます。さらに素材は最長15秒でループを使わないというのも驚き。こちらも、現在の主流とされる製品は5〜10秒でループをさせているものがほとんどですから、単にサンプル部分だけでも表現力に大きな差が現れてきます。
特に効果が分かりやすいのがピアノ。ベロシティーによるシームレスな音色変化と、撥弦から音が切れるまでの自然な減衰と倍音の時間変化は圧巻です。
各種ノイズも音楽の一部!
そこにモデリング技術が組み合わさるのですが、サンプリングされたPCM波形をつなぎ合わせ、様々な相互干渉を生み出して楽器の振る舞いを再現するのが主な働き。例えばダンパー・ペダルを踏むことによって生じるノイズや共振といった部分は、ただサンプルを「足す」だけでは、演奏フィールに大きな差がでます。そういった点と点を線で結んでくれるのがモデリングという訳です。
また、ハンマーの固さなどを変化させることも可能で、このサウンドのリアリティーには、会場でどよめきが生まれていました。
もちろんピアノ以外にもエレピ(これも絶品!)やオルガン、クラビネットからストリングス、シンセ系など必要なサウンドを網羅。さらにサウンド・フォントの取り込みも可能です。
なお、音色のリアルさや演奏の気持ち良さに大きな影響を与えているのが、各種のノイズ。本物の楽器は、楽器音だけでなく色々な「ノイズ」が混入しています。例えばピアノのハンマーが弦を叩く音、弦を放れる音といったお馴染みのノイズから、果てはロータリー・スピーカーのモーター駆動音まで。これらの各種ノイズが加わることで、さらにサウンドに説得力が加わっています。
不可能を可能にする、クアッドコアCPU
また、DEXIBELLの製品には、電子楽器で必ず表示されている「最大同時発音数」の制限がありません!! つまり、音を鳴らし続ける限り、音切れが一切起こらないということです! この秘密はオシレーターの数にあります。その数なんと… 320個。一瞬目を疑ってしまう数値ですが、誤植ではありません(笑)。
こんなモンスター・マシンを可能にしたのが、スマホやタブレット用の高性能クアッドコアCPUの存在です。通常の楽器では、自社開発の音源チップが使われることがほとんですが、DEXIBELL製品はCPUが使われOSが動いている…つまりパソコンに近い構造になっています。CPUを使う利点は純粋にパワフルで複雑な処理が高速に行えること。そして機能拡張がソフトウェアで簡単に行えることなどが挙げられるようです。
もちろん、CPUだからといって使用感は電子楽器と変わりません。
さらに高性能なオーディオ・インターフェイス機能も搭載。パソコンはもちろんiPadでも使用可能。なお、MIDIキーボード・コントローラーとして、iPad上のシンセ・アプリのパラメーターをVIVOからコントロールすることもできます。
製品ラインナップ
ステージピアノVIVO Sシリーズの最上位モデル。木とプラスチックを使用したFATAR製の88鍵ハイブリッド・ハンマーアクション鍵盤「TP-400W」採用。モーター駆動のドローバーを搭載し、オルガン・モデリング・サウンドも充実。
■価格:オープン(実勢価格:41万円前後)
VIVO S9からオルガン・モデリングを省いた、スタンダードモデル。FATAR製の88鍵ハンマーアクション鍵盤「TP-40」を採用。
■価格:オープン(実勢価格:26万円前後)
VIVO S7 Proの73鍵モデル。FATAR製の73鍵ハンマーアクション鍵盤「TP-100 LR」を採用。
■価格:オープン(実勢価格:25万円前後)
持ち運びに優れた68鍵モデル。FATAR製の68鍵ライトウェイトテッド鍵盤「TP-8P」を採用。
■価格:オープン(実勢価格:16万円前後)
VIVO S7 Proから厳選したT2Lモデリングの80音色を搭載したデスクトップ・タイプのサウンド・モジュール。
■価格:オープン(実勢価格:13.5万円前後)
多彩なクラシック・オルガンサウンドをメインに、ベーシックなT2Lモデリングサウンドを搭載した76鍵デジタルオルガン。ステレオ・スピーカー内蔵。
■価格:オープン(実勢価格:38万円前後)
モーター駆動のドローバーを搭載し、73鍵ウォーターフォール鍵盤を採用したトーンホイール&トランジスター・オルガン。ベーシックなT2Lモデリングサウンドも搭載。
■価格:オープン(実勢価格:29万円前後)
おまけ
また発表会会場では、銀座十字屋ディリゲント事業部が今後新たに取り扱いを開始する製品も展示されていました。
■お問い合わせ先:銀座十字屋ディリゲント事業部
メーカーの製品紹介ページ