TASCAM Model 16レビュー MTR機能を統合した、多機能アナログ・ミキサー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

バンド練習やライブに欠かせない「ミキサー」と本格的なレコーディングが可能な「マルチトラック・レコーダー」。さらにパソコンと連携できる「オーディオ・インターフェイス」という3つの機能を1台に凝縮したのがTASCAMの「Model 16」です。TASCAMは業務用音響機器も手がける日本のメーカーで、なんと40年も前からMTRを作り続けている老舗ブランドです。Model 16で何ができるのか、そして、どんな魅力があるのかに迫ってみましょう。


Model 16とは

TASCAMのModel 16は14チャンネルの「ミキサー」機能と、接続した音を別々に録音できる(このメリットは後ほど紹介します)「マルチトラック・レコーダー(MTR)」機能、そして、パソコンとUSB接続すれば、パソコン上のDAWソフト(別売り)に録音することができる「オーディオ・インターフェイス」機能と、3つの使い方ができる高性能のミキサーです。つまり、Model 16があれば、他の録音機材を用意しなくてもレコーディングを行うことができるのです。しかも、操作は非常にシンプルです。

充実したミキサー機能

ミキサー部分から見ていきましょう。入力端子は10 MIC / 14 LINE / 2 INST構成で、最大14チャンネルの音を扱えます。また、13/14チャンネルはBluetoothに対応しているので、スマホやタブレットなどからワイヤレスで音楽を送ることができます。BGMを鳴らす際に重宝するでしょう。

各チャンネルには3バンドのEQと2系統のAUX(MON2はプリ/ポスト切り替え可)+エフェクト・センドを搭載。1〜8chは1つまみで使えるコンプレッサーも備えています。エフェクター部にはリバーブやディレイ、コーラスなど、定番を押さえた16種類を搭載。センドリターンで使うことができます。

マスターセクションはMAIN、SUB、CRの3系統で、MAINやMON1/2にはマスター用の4バンドEQがあるので、会場に合わせた微調整が行えます。このような多機能ミキサーになると、省かれてしまうような機能もしっかりと備わっており、純粋にミキサーとして優れている点はModel 16を選ぶ大きなポイントです。

16トラックのMTR

Model 16最大の魅力が、この16トラックのMTR機能です。ミキサーに接続した14チャンネルとMAINチャンネルの合計16チャンネルの音をSDカード上に録音することができます。

録りたいチャンネルの「REC」ボタンをONにし、マスター・セクションの録音ボタンを押すだけと、とても簡単です。ライブを記念に残したり、日常の練習や曲作りに生かしたりと、いろいろなシーンで活用できるでしょう。

録音は各チャンネル個別に行われるので、録音後に各楽器の音量や音色を調整することができます。つまり、「ドラムが大きすぎ!」や「ボーカルが聴こえない!」という心配をする必要はありません。

パソコンとも接続可能

パソコンとの接続時には16イン・14アウトのUSBオーディオ・インターフェイスとして使用することができるので、DAWベースのより本格的なレコーディングに対応します。

そして、面白いのが、Model 16の入力チャンネルは個別に入力ソースを「LIVE/MTR/PC」の3つから選べる点です。つまり、あるチャンネルは入力音を、別のチャンネルにはMTRの再生音を設定することで、事前に録音しておいた演奏をバックに生演奏を重ねるという使い方が簡単に行えます。うまく使えば、パフォーマンスの幅が一気に広がるでしょう。

 


百聞は一見に如かず…ということで、TASCAMの最新マルチトラック・レコーダー/オーディオ・インターフェイスを統合した多機能アナログ・ミキサーの「Model 16」を東京大学のオールジャンルバンドサークルの東大音感さんに試していただき、部長(取材時)の山川裕人さんにお話を伺いました。

東大音感合唱研究会が発端と言われています

編集部:とても規模の大きなサークルだと思いますが、サークルの歴史を教えてください。

山川:東大音感は東大生と学外生の両方から構成されているオールジャンルバンドサークルです。正確な記録がないため、経緯はわからないのですが、1946年に創設された「東大音感合唱研究会」が発端になっていると聞いています。

編集部:東大音感はインカレサークルなんですね。具体的には、どのあたりの大学生が所属しているのですか?

山川:本学を中心に早稲田・慶應・お茶の水女子・東京女子・昭和女子・昭和音大をはじめとする様々な大学から多くの学生が所属しています。

大学内でも最大規模のバンドサークルです

編集部:いろいろな大学の学生が所属しているのですね。現在の部員数とバンド数を教えてください。

山川:イベントごとにバンドを組み替えるので、バンド数は時期によって変わるのですが、11月に開催した駒場祭(学園祭)では約50バンドが演奏しました。現在、約130名の部員が所属しており、本学の中では最大規模のバンドサークルです。

編集部:東大音感では、どういった音楽を演奏しているのですか?

山川:ギターやベース、ドラム、キーボードなどのパートはもちろん、東大音感にはサックスやトランペットといった管楽器奏者もいるため、演奏する音楽ジャンルはロックやポップスをはじめ、ジャズ、フュージョン、ブルース、インストゥルメンタルなど、多岐に渡ります。

Bluetoothでの外部接続が便利でした

編集部:今回、使っていただいたTASCAMのアナログ・ミキサー、Model 16の第一印象を教えてください。

山川:外観がスッキリとしているため、スタイリッシュな筐体だと思いました。使い勝手も良く、操作に迷うこともなかったほか、個人的にはBluetoothでスマートフォンと接続できる点が便利でした。

編集部:使い慣れているミキサーと似た外観で、操作が簡単そうな印象がありますよね。Bluetoothでの接続は、どんな点で重宝したのですか?

山川:普段はメトロノームを流しながら練習しているのですが、これまではスマートフォンとミキサーをケーブルでつなぎ、ミキサーの近くにいるメンバーがスマートフォンのアプリを操作していました。ところが、今回のModel 16はBluetoothで無線接続ができるため、ケーブルを用意する必要がなく、自分のいる場所から操作できるので、とても便利だと思いました。最近のiPhoneの場合、ステレオ・ミニの接続ケーブルを紛失してしまいがちで、ミキサーと接続するのに苦労したことがあるのですが、Model 16の場合はBluetoothでの無線接続なので、良かったです。

編集部:外部機器との接続が簡単なのは嬉しいですね。実際に使ってみて、いかがでしたか?

山川:今回は部室でのバンド練習でModel 16を使用したほか、バンド・レコーディングも行いました。とても使いやすくて、例えば、筐体面で言うと、マイク・ケーブルやシールド・ケーブルの接続端子がフロント・パネル側にあるので、ケーブルを挿しやすかったです。何番のチャンネルにどの楽器やケーブルを接続しているかの視認性が良かったほか、ディスプレイも付いているので、今、自分がどんな操作をしているかや、どんなエフェクトをかけているかがわかりやすかったです。

チャンネル数も余裕で、使いやすかったです

編集部:レコーダー機能はいかがでしたか?

山川演奏に集中し、ベストなテイクを保存してから、「ここのパートが聴こえにくいかな…」というところの微調整ができたため、落ち着いてレコーディングに臨めました。今回はバンドでセッションをし、録音しました。楽器はボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボードの5パートで、ボーカル、ギター、ベース、バス・ドラム、スネア・ドラム、ハイハット、オーバーヘッド(1本)、キーボード(2本)の9チャンネルを使いました。

編集部:いわゆる「バンド形態」のレコーディングですね。

山川:はい、これだけの楽器を接続しても、まだチャンネル数に余裕があったので、普段の練習やレコーディングで使う分には、このModel 16で十分に事が足りると思いました。今回はすべてのバンドがレコーディング機能を試したわけではないのですが、使い方を習熟すれば、どのバンドもそれぞれでSDカードを用意し、練習の度に演奏を録音すると思いました。

編集部:これまで部で使用していたミキサーと比べると、今回のModel 16はいかがでしたか?

山川:先ほども言いましたが、部で使用しているミキサーは本体の背面に接続端子があるので、上から覗き込んだり、背面に回り込んで確認しないといけなかったのですが、Model 16はその必要がないため、「使いやすい!」「これからも部で使いたい…」という声が多かったです。


■販売価格:11万5,000円(税別)

■お問い合わせ先:ティアック
メーカーの製品紹介ページ


 

関連記事

ページ上部へ戻る